吉田松陰、高杉晋作、福沢諭吉、
誰もが世界の事情を知ることを目指した

 萩の「松下村塾」で知られる吉田松陰は、明治維新の精神的な起点となった人物として知られます。彼は諭吉とわずか5歳しか変わらない人物(1830年生まれ)ですが、ペリーの黒船来航によって、海外渡航を企てます。理由は海外の最新技術や知識を得るためです。

 長州藩で討幕のきっかけを作った高杉晋作は、1862年に藩命で上海に渡航しています。そこで見た清国の半植民地化の現状や西洋列強の武力などに衝撃を受けて帰国しています。

 大変革期に内側にこもり続けることは、古いパラダイムの中に浸り続けることに似ています。その枠組みからアタマが抜け出せないならば、問題解決力が向上せず、結果として古いパラダイムと共に衰退してしまいます。

 内側に閉じこもるだけでは、すでに山積みの問題を解決できないとき、私たちは一体どのように行動したらいいのでしょうか。これまでの習慣的なビジネスの進め方で海外メーカーとの競争に負けてしまうならば、新しい付加価値を生み出せないならば、どうすべきでしょうか?

 諭吉は書籍『西洋事情』や『学問のすすめ』で、日本の古いパラダイムを外から眺める経験を日本全国の人たちに勧めています。大きな集団でも小さな組織でも、古いパラダイムに苦しむとき、新たな視点を外側から集団に持ち込む人こそが必要とされるのです。

 『学問のすすめ』は140年前、変われない日本人と日本社会を変えるために書かれた書籍です。時代が変わるたび、リーダーに求められる素養も変わると言われていますが、大変革期を体験している今だからこそ、新たなパラダイムを組織や集団に導入できる人物こそが、未来のリーダーになる時を迎えているのではないでしょうか。(第7回に続く)

次回は4月24日更新予定です。


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