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大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」

変貌したロシアを理解して
世界の変化を知る

大前研一 [ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長/ボンド大学大学院ビジネススクール教授]
【第3回】 2007年10月26日
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 2007年9月、私は日本から60名の経営者とともに、ロシアを訪れました。経営者達はロシアの状況を目の当たりにして驚いていました。

 「大前さん、日本ではこんなこと、どこにも報道されていないじゃないですか」

 彼らの言うとおりです。我々が理解しているロシアは現実に存在するロシアとは異なっているのです。37年前、私は初めてロシアを訪れました。以来、ずっと通い続けていますが、つくづく日本はロシアを理解していないと感じます。その点、アメリカ企業は違います。

 アメリカには難易度の高い技術に関して、ロシアに研究開発部門を置いている企業が多くあります。前回、グローバリゼーションは工場の最適化だけではなく、R&D――研究開発にまで及んでいることをお話しました。それはロシアに対しても同じです。

ロシアの高い技術力を
手中に収めたアメリカ企業

 半導体メーカーのインテル(Intel)は、ロシアにおよそ3000人の研究者を抱えています。この数はアメリカにいるインテルの技術者の数と同じなのです。もともとロシアは、小さいメモリのなかにロジックを詰め込む技術に長けていました。そのことを知っていた共同創業者のアンドルー・グローヴはエリツィンが大統領に就いていた頃、大量の技術者を採用しました。

 インテルだけではありません。ボーイングも1500人の開発研究者をロシアで雇用しています。こちらもアメリカとほぼ同数です。ボーイングの旅客機のなかには、ロシアで基幹部分が設計されたものもあります。

 もともとロシアにはツポレフやイリューシンといった航空機に関する優れた技術を持った企業があります。技術力は高いのですが、なかには業績の芳しくない会社も見られます。ボーイングはそのような企業に目をつけ、優秀な技術者を採用しました。ロシアを観察し、ロシアを知ることで、インテルやボーイングといったアメリカ企業はより高い技術を手中に収めたのです。

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1982年から1995年にかけて、大前氏が『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌、『ウォールストリート・ジャーナル』紙への寄稿文をまとめた海外論文集。世界のビジネスリーダーが絶賛した大前氏の戦略コンセプトの原点といえる内容。1890円(税込)

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大前研一 [ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長/ボンド大学大学院ビジネススクール教授]

早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーで20年以上日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。現在、大前・アンド・アソシエーツ代表取締役、ビジネス・ブレークスルー代表取締役、ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長等を務める。著書に『ザ・プロフェッショナル』『大前研一 戦略論』『企業参謀』『新・資本論』など多数。
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大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」

大前研一氏の2007年10月の講演会の内容を、計3回にわたって掲載する。日本人の想像を上回る速度でグローバル化が進む世界に目を向け、それを好機と捉える発想がなければ、日本は再び浮上できない。

「大前研一講演録「グローバル化を好機と捉えよ」」

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