「学歴」と「会社」で
自分を守る人々

 学歴や会社名は悪くないのに、そういうスタンスをとるばかりに、「顔見知り」はできても本当の友達ができなかったのだ。無論、異性の親しい友人もできず、フェイスブック上で知り合った知人は増えても、なかなかデート、そして交際に発展することがなかったのだ。

「学歴」と「会社」以外の話題で会話を楽しむことができない。むしろそれを盾にして、本当の自分を隠しているようにも見えた。

 私は彼に2つのアドバイスを行った。1つは、日常生活の中で、「人生計画」や「目標実現」などの話をしないこと。自分の優秀さをアピールする前に、まず目の前の人と言葉のキャッチボールをすること。そして、話すことと聞くことの割合を「2対8」ぐらいにして、とにかく人の話を聞くようにとアドバイスをした。

 もう1つは、「誰も俺を愛してくれない!」と落ち込むのではなく、まず自分から誰かを愛すること。

 彼の最大の問題点は、自己肯定感の低さゆえに、「俺を見てくれ、愛してくれ」と、周囲に過剰アピールしているところだった。この状況では愛されるどころか、どんどん人を遠ざけてしまう。発想を根本から変えるしかなかった。