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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

村上春樹作品の“離脱する主人公”に見る時代遅れ感
新しい共同体のヒントは『ONE PIECE』にあり?

――処方箋㉑巻き込まれるのではなく、自ら共同体へコミットせよ

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第21回】 2013年5月8日
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日本の組織にダブらせると実に興味深い
村上春樹氏が描く主人公の「時代遅れ感」

 小説家の村上春樹氏が新作を出版し、発売わずか1週間ほどで100万部を突破する人気を博している。

 実は私も20年来のファンで、彼の作品はだいたい読んできた。また、村上春樹氏の小説は、臨床心理学的に大変興味深いという。ほとんどの作品で、彼の描く人物の行動、内容は、臨床家から見ると深い意味を感じさせるという。

 私の知り合いの臨床家はそう語っていた。ただし『ノルウェイの森』だけは違う、とは言っていたが――。

 日本のユング派臨床心理学の大家であった故河合隼雄氏とも、村上氏は長く親交があった。先日京都大学で行われた村上氏へのインタビューで、氏は「物語を書くには、人の心の深いところまで降りていく必要がある。その意味では、臨床心理と自分が物語を書くことには共通点がある」と語っていた。

 私もそれには100%同意する。氏の描こうとするものは、いつも根源的で魅力的だ。だが、その描き方については疑問がある。そしてそのことは、今の日本社会が抱えている問題や、日本の会社組織が直面している問題と深く関わっているのだ。

 氏の小説の主人公は、基本的には「他人と関わることを避ける」ように振る舞っている。新作の『色彩をもたない多崎つくると、彼の巡礼の年』にしてもそうだ。孤独に身を鎮めて、物事を客観的に見ようとする主人公は、彼の多くの作品に共通する。

 そして、彼の紡ぐストーリーの中では、そんな「共同体から離れたがっている主人公」は黙っていても、色々な人からアプローチを受ける。そして他者との関係を深めていくのだ。気が付くと、主人公はその関係性の要となってストーリーが進んでいく。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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