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ピカソの秘密
【第20回】 2013年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

お金やセックス…タブーに挑戦する
文学の「デザイン」はどう変わる?
ゲスト:作家・平野啓一郎さん[前編]

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お金とはいったい何なのか。そして、文学者はお金とどう向き合うべきなのか。次々と話題作を発表する作家・平野啓一郎さんと、『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』の著者・山口揚平さんが、お金、文学、デザインなどについて語り合う。

「お金とは何か」に決着をつけ、
お金から自由になれた

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)プロフィル 1975年、愛知県生まれ。京都大学法学部卒。98年、在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』でデビュー。同作が第120回芥川賞を受賞する。2009年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した『決壊』、第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した『ドーン』など数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。近著に『空白を満たしなさい』(講談社、2012年)、『私とは何か ー「個人」から「分人」へー』(講談社現代新書、2012年)。公式ホームページhttp://k-hirano.com/ ツイッター@hiranok

平野啓一郎(以下、平野) 作家の仕事において、人がネガティブに思っていることを肯定的に説くなど、価値観をひっくり返すことは非常に重要です。そういう意味では、山口さんのご著書『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』の冒頭にも書かれていた通り、セックスやお金の話題も作家にとって興味深いテーマです。お金について話すことは「低俗で汚い」という価値観が今でも日本にはありますが、そんな中で正面を切って「そもそもお金って何なのか」を、その意味を再考するというのはすごく面白いなと思いました。

山口揚平(以下、山口) ありがとうございます。

平野 お金について話そうとするときに感じる世間の抵抗みたいなものを、昔から山口さんご自身が肌身で感じられていた、ということも執筆の動機としてあるのですか?

山口 正直に言ってしまえば、自分のお金に対する執着と向き合った結果だと思うんです。僕は約10年にわたって「お金とは何か」をずっと考えてきたのですが、この本で「お金とは、価値と信用を結晶化し、数値化したものである」と結論づけ、みずからの疑問と執着に決着をつけることによって、自分自身かなり自由になれた気がします。単にお金を溜め込むのでなく、丁寧に使ったり投資したりお金を「流す」ことができるようになりました。

平野 コンサルティング業界でキャリアを積まれたということは、学生の頃からお金や経済というものに問題意識を持っていたのですか。

山口 いえ、実は僕、芸大に行きたかったんです。それを諦めて、なぜか資本主義的王道をめざす政治経済学部に行く道を選んだのですが、ある意味、社会の秩序や「正しいとされる生き方」に従属して、“負けた”結果だと思うんです。社会や教育は、人をコモディティにしたがる。画一的で匿名的な存在にさせたがるものです。そして、最終的にはいつの間にか自分の独自の価値観や才能とは対極にある資本主義の王道的な仕事、つまり大型のM&Aを手がけるようなキャリアになっていった。

 そこであるとき、ふと足を止めて考えてみたんです。お金って一体なのだろう、と。それは数字という究極のコモディティであり、人は蟻地獄のようにそのお金という数字に巻き込まれて人生を浪費させてしまうのではないか? そこから貨幣や資本というものの価値観を相対化したらどうなるだろう、と考えが進んできました。

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山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]

早稲田大学政治経済学部卒。1999年より大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業した。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供、2010年に同事業を売却後、12年に買い戻した。現在は、コンサルティングなど複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演を行う。専門は貨幣論・情報化社会論。著書に『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)』『企業分析力養成講座(日本実業出版社)』『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか(アスキー・メディアワークス)』。
ブルーマーリンパートナーズ 公式サイト http://www.bluemarl.in/
Twitterアカウント http://twitter.com/yamaguchiyohei

 


ピカソの秘密

将来の「正解」が見通せない今、誰もが、ぼんやりとした不安を抱えています。その大きな原因は「変化が重なり、先が読めないこと」。なかでも、グローバル化やIT化によって最も変化したもののひとつが、金融、「お金」のあり方です。本連載では、「お金」の変化を整理し、これからの世の中で幸せをつかみ、経済的に生き抜いていくための考え方や行動様式について、先達?ピカソにも倣いながら紹介していきます。

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