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「ダビング10」無期限延期の背景を探る

【第1回】 2008年6月11日
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 2011年までに順次導入される地上デジタル放送。現在は地上アナログ放送と並行して放送されているが、2011年7月に地上アナログ放送は停波。地上デジタル放送に完全移行する。

 この地上デジタル放送には、ハードディスクレコーダーに録画した番組を、DVDやブルーレイ・ディスクへコピーする際に制限を設けるコピープロテクト「CPRM」が適用されている。

 たいていは「コピーワンス」という種類になっており、ハードディスクレコーダーからDVDやブルーレイ・ディスクに、番組を1度だけ移動(ムーブ)可能。その際、ハードディスクレコーダー内の元映像は削除される仕組みだ。

 しかし、自分で録画した番組を私的用途においても複製できないとは、なんとなく理不尽さを感じる。このコピーワンスが嫌で、未だに地上デジタル放送ではなくアナログ放送を視聴している人もいるようだ。

 そこで発表された新しい録画ルールが「ダビング10」だ。これは、ハードディスクレコーダーやパソコンなどに録画した地上デジタル放送の番組に対して、9回のコピーと1回のムーブが可能になる。回数制限はあるものの、コピーワンスに比べれば格段の進歩といえる。ただし、このダビング10を楽しむには、番組側と録画機器側でのダビング10対応が必要だ。

 全国のテレビファンの期待を一身に背負い、2008年6月2日より「ダビング10」対応放送が始まる予定だったが、直前になり延期となった。そして、いつ始まるのかも未定のまま、「ダビング10」は暗礁に乗り上げてしまった。

 延期の理由は、デジタル放送録画機器に私的録音録画補償金を上乗せするかどうかで、放送局など著作権者側とメーカー側が対立したためだ。

 私的録音録画補償金は、著作権法内で認められた範囲で録画・録音を行う際に支払われる補償金のこと。ただし一般消費者が複製をするたびに補償金を支払うのは難しいため、録画・録音機器または記録メディアに補償金が上乗せされる形で徴収されている。

 文化庁の文化審議会著作権分科会では、この私的録音録画補償金の扱いについて再検討。補償金の対象外であるデジタル録音・録画機器の普及に伴い、それらの機器に私的録音録画補償金を上乗せするかどうかで、メーカー側と対立しているのだ。

 メーカー側としては、ハードディスクレコーダーなどの録画機器や、DVDやブルーレイ・ディスクに私的録音録画補償金が上乗せされてしまうばかりでなく、デジタル放送を録画できる機器としてパソコンなども補償の対象になってしまう恐れがあるため、これに反対している。私的録音録画補償金が適用されると、それを販売価格に上乗せすることで製品の値上げとなり、消費者の購入意欲が削がれるのを恐れているのだ。

 双方の話し合いは平行線のまま。ダビング10が今後どうなるのか、まだ先が見えない状況だ。自分の好きな番組を、自由にダビングできない不自由は、いましばらく続きそうだ。

(三浦一紀)

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