「一本化」しない代わりに
3つほど連発する「同系列たたき込みモノ」

前回、ダジャレの亜流「続けモノ」について書きましたが、ダジャレの定義からすると正統派と言えないけれど、使えば面白く仕上がるという実践的な亜流ゾーンに属するダジャレたちがまだおります。今回は、さらに4種類の亜流ダジャレ、「同系列たたき込み」「挟み込み」「意味でダジャる」「受けとセットもの」について解説していきます。

 まずは、「同系列たたき込み」からいってみましょう。言葉だけ聞くと前回の<続けモノ>と同じ印象があるかもしれませんが、かなり違うのです。どこが違うというと、<続けモノ>は、<同尾文>という言葉の相似を続けて<一本化する>ことで初めて成立するもの。言葉単体で言っても言葉遊びにはまったくならない。

 対して「同系列たたき込み」は、完成したダジャレの、素材語か加工語の目的語一部が共通したものを連発するのです。<一本化しない>かわりに、3つとかを勢いでたたみ込む感じが効きます。では、僕が一番よく使う実例を。

「いやー、最近新聞の文字が読めなくて困るよもう。老眼だよ老眼。(目を押さえるなどしながら)老眼大統領」(少しだけ間を空けて)「(肩を付き出しながら)肩大統領!」「(両手で押し出しながら)プッシュ大統領!

 この作品は、我ながら見事なできばえだと、台所洗剤してるんです……いや、ホーミングしてるんです……いや、自負してるんです。と言うのも、通常は、<言葉の相似形>で他を思いつくのですが、これは、ジャンルを同じくするという特殊な例なのです。

 どういう構造かをもう少し噛み砕きますね。最初にオーソドックなダジャレとして、老眼大統領(ローガン)を発する。ここで次にダジャレをつないでいくにあたり、素材語である<ローガン>は捨ててしまい、加工語の一部である<大統領>を残す。これが「続けモノ」と逆なのです。

 つまり<大統領>で考えるのですが、それも、<言葉>ではなく、<ジャンル>として意識して「<大統領>のネタでなにかダジャレないか」と発想を横に広げるのです。

 ここで、歴代アメリカ大統領の名前をつらつらと思い浮かべてみる。カーター……よしっ! これだっと、肩大統領が出ると。さらに同じ思考行程を経て、ブッシュ→プッシュと繋がる。たまたまこの2つは仕草も加えられてインパクトは倍加します。

 あ、書いてて思いつきましたが、ベルトを緩めながら<ルーズベルト大統領!>ってのもいいですね。4連射可能! 

 まだこれを超える「同系列たたき込み」を生み出せておりません。同様の<ジャンルでくくる>例があまりないほど様式美として完成度が高い。この例がハイレベル過ぎたので、このあとは普通に<素材語か加工語の一部を残した相似形>の、「同系列たたき込み」の実例を挙げていきましょう。