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岸博幸のクリエイティブ国富論

マスメディア再生の教訓は音楽業界にあり

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第30回】 2009年3月6日
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 インターネット普及に伴う視聴者離れに追い打ちをかけるように経済危機が発生し、今やマスメディアは世界的に構造不況業種となってしまいました。 しかし、先週も説明したように、マスメディア再生は日本にとって不可避です。そして、マスメディア再生を考えるに当たっては、音楽産業の経験が重要な先例となります。今週は、この点について説明したいと思います。

マスメディアの崩壊

 マスメディアの崩壊はどんどん進んでいます。その象徴とも言える出来事が起きました。米国コロラド州の主要紙ロッキー・マウンテン・ニュースが2月末で廃刊となったのです。破産申請した大手新聞社トリビューンのように、新聞がまだ発行されているケースとは異なります。デンバーで一番読まれていた新聞がもう発刊されなくなってしまったのです。同紙のホームページに発刊最終日を記録した映像がありますので、見て下さい。悲しくなります。

 同紙は暫くの間売りに出ていましたが、遂に買い手は現れませんでした。経済危機が大きく影響しているとは言え、「紙で広告収入と購読料を、ネットで広告収入を得る」というビジネスモデルでは再生可能性が低いと市場に判断されたと言わざるを得ません。

 このような悲劇を日本のローカルメディアで繰り返してはいけません。だからこそ、日本のマスメディアは早くビジネスモデルを進化させないといけないのです。しかし、世界のマスメディアがそれに失敗している中では、海外の同業種から成功の方程式や先例を見いだすことはできません。でも、音楽業界の経験からはたくさんの教訓を見いだせるのです。

音楽業界の経験

 メディア業界とコンテンツ業界は、中身(作品やニュースなど)を作り出してマスに提供するという点で、基本的に同じビジネス構造です。その中で音楽は、データ容量の小ささやユーザにとっての身近さなどから、メディア・コンテンツ業界を通じて最も早くデジタルとインターネットの洗礼を受けました。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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