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田中秀征 政権ウォッチ

私の母の歴史認識

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第185回】 2013年5月30日
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 橋下徹大阪市長の発言騒動もあって、このところ歴史認識論争が沸騰している。

 “歴史認識”と言うと、いつも私は40年前に亡くなった母のことを思い出す。

 私の母は、私が衆議院選挙に初出馬して落選した1年半後に他界した。

 母は私に政治向きの感想や意見を述べたことは一度もなかったが、歴史認識についてはその行動によって、今に至るまで大きな影響を与え続けている。言わば私の歴史認識の原点である。

 もちろん無学な母は“歴史認識”などという言葉とは無縁であったし、私に何かを教えるつもりもなかった。私が勝手に母から学んだのである。

A級戦犯の写真を
新聞から切り抜いた母の思い

 昭和23年12月、東條英機元首相をはじめA級戦犯7人の絞首刑が執行された。この出来事は当時小学2年生の私にも大きな衝撃を与えた。

 翌朝の新聞一面には巣鴨プリズンから出てくる大型トラックの大きな写真が掲載された。その荷台には白布に包まれた7つの棺が乗せれ、占領軍兵士が敬礼している。

 その夜、母は部屋の隅にうずくまり、ハサミでその写真を切り抜いていた。泣いているようにも見えたので、私は近寄ることもはばかった。

 母はその写真を仏壇のそばの壁に貼り、長い時間合掌して頭を下げ続けた。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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