神奈川県川崎市に位置しながら、公示地価で横浜を抜き、マンション価格で東京の湾岸エリアを抜いた武蔵小杉。今後もマンションの供給ラッシュは続き、過熱感を指摘する声も上がる。
Photo by Tomoko Tsumoto
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国土交通省が2013年公示地価を発表した3月21日、川崎市役所まちづくり局は歓声に包まれた。住宅地の地価で、長らく神奈川県下でトップだった横浜市中区山手町を抜き、川崎市中原区小杉町、つまり武蔵小杉エリアが1位に輝いたのだ。
それだけではない。東京圏における住宅地の地価上昇ランキングトップ10のうち、3地点が武蔵小杉駅を最寄り駅とする地点だった。上昇率1位だった中原区小杉町2丁目地点は前年比で9.1%もの大幅上昇となった。
新築マンションの販売価格にも過熱ぶりが表れている。首都圏で現在、マンションラッシュの様相を呈しているエリアは二つある。武蔵小杉と、豊洲や東雲、勝どき、月島など、東京都中央区と江東区に広がる、いわゆる「湾岸エリア」と呼ばれる地域だ。
武蔵小杉も湾岸エリアも、かつての工場跡地が現在、マンションに次々と生まれ変わっている。
首都圏ではマンション用地が逼迫してきているといわれる中、「豊富な用地がある数少ない地域」(大手デベロッパー営業マン)なのだ。
当然、都心からの距離でいえば、東京都に位置する湾岸エリアのほうがはるかに近いのだが、11年には武蔵小杉の新築マンションの平均分譲価格が、湾岸の豊洲エリアを抜いた(東京カンテイ調べ)。
その後も価格差は開き、今年に入ってからの平均分譲価格は、武蔵小杉の坪262万円に対して、豊洲は214万円。実に50万円近くの差がついた。タワーマンションの上層階には億ションも登場し、坪単価320万円といった、都心並みの高額物件も出てくるようになった。
人気はまだまだ続きそうだ。07年ごろから始まったタワーマンション建築ラッシュにより、武蔵小杉にはおよそ4600戸分の新築マンションが供給された。今後も勢いは衰えず、さらに4100戸分の供給が予定されているという。予定分を合わせると、武蔵小杉駅周辺には100メートル以上のタワーマンションが11本も立ち並ぶことになる。