1973年富士銀行入行、2004年みずほコーポレート銀行常務取締役、05年3月退社、同年4月ヤマト運輸入社、6月同社常務取締役、11月(純粋持株会社体制に移行)、06年ヤマトホールディングス代表取締役 常務執行役員、11年4月ヤマトホールディングス代表取締役 社長執行役員 兼 ヤマト運輸株式会社 取締役会長、 現在に至る。
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前回に続き、ヤマトホールディングス・木川眞社長インタビューの後編をお送りする。今回は、ヤマトグループがなぜ革新性を維持し続けることができるのか、その仕組みについて聞く。木川社長はそのためには、個人の資質、教育、仕掛けが重要だと語ると同時に、特別な教育をしているわけではないとも言う。さて、その真意は……。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也 撮影/宇佐見利明)
“荷物ください営業”から
“ソリューション営業”へ
――ヤマトグループの新商品・サービスの開発は、トップダウン型なのか、それともボトムアップ型なのでしょうか。
うちが商品を開発する時の基本というのは、現場のニーズです。お客様に直接の接点をいちばん持っている現場が、商品開発のニーズを拾ってこないといかんと言い続け、それがどんどん上がってくる仕掛けをつくってきました。
これだけ組織が大きくなってくると、現場の声が本社の開発部隊に直接届きにくくなってくる。そうなると本社が商品開発をする時に、どうしてもお客様目線というよりは、供給サイドのややプッシュ型の商品開発になってしまう。開発サイドから見て「これが便利なはずだ」というようなものがつくられかねない状況が、何となく本社の雰囲気にもあった。
そこで僕らがどういう行動をとったかというと、「我々本社の人間が東京の本社のビルにいるのではなくて、現場に行って本当のニーズを聞いてこよう。現場がお客様の望んでいる声をいちばん知っているのであれば、彼らにお客様の生の声を言ってもらおう」、ということで始めたのが「エリア戦略ミーティング」です。
実際に東京の本社にいる会長、社長以下役員、本社の部長クラス、グループ会社の社長も含めた幹部が、全国に10ヵ所ある支社に行って、エリアのお客様の声を聞いている現場が、そのお客様の声にどう対応しようとしているのかというプランを聞き、それに対してアドバイスするスタイルを行ってきました。