ふたを開けてみれば、追加取得したのはたったの3%、目標に掲げた上限の12%はおろか、当初の4%にも満たなかった。
米投資ファンドのサーベラスが仕掛けていた西武ホールディングス(HD)の株式公開買い付け(TOB)。
サーベラスは、追加取得の上限を引き上げただけでなく、TOB期間を5月31日まで延長するなど、西武HDと泥仕合を演じた。仮にサーベラスがさらに12%の株式を握れば保有比率は32.44%から44.67%になっただけに、西武HDは絶体絶命のピンチに追い込まれるところだった。
というのも例年、西武HDの株主総会における議決権行使率は8割強であり、「実質過半数を握られ、経営を支配される」(西武HD関係者)数字だったからだ。
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サーベラスは西武鉄道が上場廃止になる直前の2004年10月の株価から3割近いプレミアムを上乗せした1400円で募集。株主の手元には、サーベラス側から勧誘の手紙が届いたり、逆に西武鉄道は電車の中づりで「TOBに応募しないで」といった広告を掲げるなど、両社の攻防は熾烈を極めていった。
外資系も含めた金融機関などの大株主は西武HDと歩調を合わせており、カギを握ったのは発行済み株式の約13%に当たる約1万3000人の個人株主の動向だった。
サーベラス側は、TOB期間の延長を発表した際に、「多くの申し込みがあり、手続きできるようにした」と自信のほどをのぞかせていたが、結果は期待はずれ。サーベラスのTOBに応じるための証券口座を開設した人は4000人強いたが、実際に応募したのは2916人にとどまった。