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日本を元気にする企業の条件

加護野忠男・神戸大学教授インタビュー 
「日本は製品のイノベーションに目が向きすぎ。仕組みのイノベーションを起こせ」

原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]
【第3回】 2009年12月4日
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世界経済は、依然として、不安定な状況が続いている。その中で日本企業は、生産コストがカギを握る大量生産品では、新興国の追い上げを受け、競争力を失いつつある。経営学の泰斗・神戸大学大学院の加護野忠男教授に、日本企業が活力と元気を取り戻すための条件を聞く。

加護野忠男
加護野忠男・神戸大学大学院教授

加護野教授:これから元気の出る企業の条件は、製品のイノベーションから、仕組みのイノベーションを実現できる企業でしょう。

 その典型がユニクロ(ファーストリテイリング)だと思います。考えてみれば、いまは過剰店舗気味ですが、コンビニも仕組みのイノベーションでできたビジネスですね。これに対して、百貨店やスーパーは、仕組みのイノベーションを進められず、厳しい状況になっている。

 例えば、中食(なかしょく)ビジネスでは、神戸にはロック・フィールドという会社がありますが、これも典型的な仕組みビジネスです。中食ビジネスの最大の問題は、雨が降ると、売上が大変に不安定になること。

 ロック・フィールドは、保存のきく方法で食材を配送し、店舗で最終的に食材を加工する。その際、全国にある2つの工場から配送するので、どこかの地域が雨でも、どこか別の地域は晴れているので、生産が平準化できる。廃棄損も少なくなるし、ビジネスを平準化することに成功しています。

―関西は松下電器産業(現パナソニック)、シャープ、三洋電機など、日本を代表する家電メーカーを生み出してきました。その家電メーカーが、いまや収益の低迷に悩んでいます。

 家電メーカーの中でユニークだったのは、松下電器です。もともと松下電器は、仕組みで勝っていた。かつては日本全国に、2万数千店ともいわれるナショナルショップを展開して、このショップがお客さんと緊密な関係を持ちながら、次の商品を提案していくという独特の販売のやり方を採っていた。無理をして安く売らなくても、お客さんの価値を高めていけば、ビジネスが成立していました。

 ところが流通革命の中で、販売は量販店が中心になる。量販店で売るとなると、品番が決まっているので、他のお店からお客さんを引っ張ってこようと思うと、値段を下げるしかない。量販店は値下げせざるをえないし、メーカーも製品の価格が低下するという方向にいかざるをえないということで、みなが疲弊するタイプの競争になってしまった。

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原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]

1956年生まれ、佐賀県出身。慶應義塾大学経済学部卒。
1981年東洋経済新報社に入社。金融、証券、エレクトロニクスなどを担当。
1995年『月刊金融ビジネス』、2003年4月『東洋経済オンライン』、
2004年4月『会社四季報』、2005年4月『週刊東洋経済』の各編集長などを経て、2006年同社を退社。
2010年3月ダイヤモンド・オンライン客員論説委員、2011年10月編集長、2015年1月より現職。
主な著書に『銀行が変わる?!』(こう書房)、『素人のための決算書読解術』(東洋経済新報社)。

日本を元気にする企業の条件

悲観論一色の日本経済。リーディング産業不在の中、ともすれば、元気な企業などないという錯覚に陥りがちだ。しかし足元をよく見れば、次代の主役はたくさんいる。彼ら元気印企業の発想と取り組みに学ぼう!

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