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「新型大国関係」をめぐる米中首脳会談
汗をかきすぎたのはどちらか?
――加藤嘉一・国際コラムニスト

加藤嘉一
2013年6月13日
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習近平体制を占う上で
見過ごせない2つの思想

かとう・よしかず
国際コラムニスト。1984年静岡県生まれ。日本語、中国語、英語で執筆・発信する国際コラムニスト。2003年高校卒業後単身で北京大学留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。学業の傍ら、中国メディアでコラムニスト・コメンテーターとして活躍。中国語による単著・共著・訳著は10冊以上。2012年2月、9年間過ごした北京を離れ上海復旦大学新聞学院にて講座学者として半年間教鞭をとり、その後渡米、現在ハーバード大学ケネディースクールフェローとして米中関係・中国問題の政策研究に取り組む。

 先週末、米カリフォルニア州サニーランドで、2日間にわたってオバマ米大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が行なわれた。両国リーダーによる会談は、今後の世界情勢を見通すうえで、極めて大きなインパクトを持つ。

 この会談を読み解くために、まず習近平政権の深部に迫るところから始めたい。

 中国の国家リーダーは概念(コンセプト)、意識形態(イデオロギー)、理論基礎(セオリーファウンデーション)にとにかくこだわる。本文ではこれら3つを合わせて「思想」と呼ぶことにする。

 中国社会科学院をはじめとする政府系シンクタンク、軍事科学院など軍関係のシンクタンク、大学機関など、あらゆる政策立案機関や学術機関では「リーダーたちが政治の舞台で政策を着実に執行するために、いかなる漏れや隙も露呈しないような思想的基礎・理論的支柱を綿密な調査や根回しを経た上で提供するミッション」(社会科学院高官)が、リーダーたちに対して日々行われている。

 中国国家リーダーの口から日々出てくるスローガンや政策は、決して彼らの思いつきや個人的信念から来ているわけではなく、国務院傘下にある行政機関や党機関がシンクタンク・大学機関などと綿密な連携をとり、過去の経験から未来を予測した上で抽出されたエッセンスなのである。

 今年3月に習近平政権が正式に発足する前夜、私が注目した「思想」が2つある。いずれも、習近平体制の行方を占う上で見過ごせないものだと考える。

 「中国夢」(Chinese Dream)
 「新型大国関係」(A New-Model of Major-Power Relationship)

 習近平政権にとって、前者は内政、後者は外交を安定的に統治するための切り札となる「思想」になると私は直感的、経験的に思った。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


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