EU・中国関係に暗雲、ウクライナ戦争や貿易巡りPhoto:Pool/gettyimages

【ブリュッセル】中国と欧州が共にトランプ米政権の関税に直面している。だがこの共通の脅威も、両経済圏の距離を近づけるには至っていない。

 欧州はロシアによるウクライナでの戦争を中国が支持していることに不満を募らせている。また、当局は中国が低コストの製品を各国市場に大量に供給していると判断している。24日に北京で開催された中国と欧州連合(EU)の首脳会談でもこうした不満が全面的に示され、会談から具体的な成果はほとんど得られなかった。

 またEU当局者らは欧州の商業的利益を守ると述べ、中国政府がEUの懸念に対処しなければ、中国企業による市場アクセスを制限する可能性があると警告している。

 欧州委員会(EC)のウルズラ・フォンデアライエン委員長は首脳会談後、「他の主要市場と異なり、欧州は中国製品に市場を開放している。しかし中国側は同じように開放していない」と発言。また中国政府が補助金を通じて過剰生産を支えていると非難し、これによりEUの対中貿易赤字は過去10年間で2倍以上の3000億ユーロ(約52兆円)に拡大したと指摘した。

 フォンデアライエン氏は、「この問題で進展が見られなければならない。進展がなければ、EUが現在の開放水準を維持することは非常に困難になるだろう」と述べた。

 EUと中国の首脳会談は、両経済圏の外交関係50周年を祝うものとされていたが、関係悪化への悲観論が広がる中、双方は厳しい態度で挑んだ。また中国は関係緊張化の表れとして、当初2日間の予定だった首脳会談を1日に短縮していた。