菜菜中国では「脱口秀」と呼ばれるスタンダップコメディが人気になっており、女性コメディアンが続々と誕生している(WeTVチャンネルより)

ここ数年、中国で人気が拡大しているのが、「脱口秀」と呼ばれるスタンダップコメディ。舞台の上で一人でマイクを使い、観客に直接話しかけるようにパフォーマンスを行うコメディショーである。最近は女性のコメディアン(コメディエンヌ)の活躍がめざましく、農村出身の50代女性や、ウイグル族女性といった人気者も登場している。彼女たちのネタはあまりに生々しくて驚かされるが、多くの観客を惹きつけて一大ブームとなっている。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

中国農村出身の50代女性が“お笑い”の道に

「2023年4月8日、専属コメディエンヌとして契約を交わした。2024年4月8日、二人の娘を連れて身ひとつで離婚した。2025年4月8日、何もないまま静かに過ぎていった。わたしは幸せに暮らしてる」

 こうして彼女は、4月8日を「わたしの誕生日」と呼ぶようになった。

 本名は樊春麗(ファン・チュンリー)、だがステージでは「房主任」(ファン・ジューレン)と名乗る。「房」姓の「主任」という意味である。房主任は、北京と上海を結ぶ線のちょうど真ん中あたりに位置する山東省臨沂市の農村出身の50代女性だ。

房主任

 冒頭の言葉通り2023年デビュー、スタンダップコメディエンヌとなってからまだ2年ちょっとだが、農村社会に依然として残る男尊女卑の話題をネタに多くの笑いと注目を引き起こしている。