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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

アベノミクス「成長戦略」最大のカギは
企業にはびこる強固なデフレマインドの克服である

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第13回】 2013年6月17日
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注目されるアベノミクスの成長戦略

 経済は一つのところにとどまることなく、常に次のステージに向けて動いていくものである。華々しく登場したアベノミクスであるが、市場の関心は次に移りつつある。

 「第一弾の金融緩和政策はこれまでのところ成功と言ってよいだろう。問題はその先だ。成長戦略で評価できるようなものが出てこなければ、経済は持続的な成長を続けることはできない」という声があちこちから聞こえてくる。

 私のところにも海外から多くの人がやってくる。少し前までは、これらの人の最大の関心事は日本銀行の政策であった。「次元の違う」金融政策について、海外からの関心が大きいことを反映したものだ。

 しかし最近は、そうした人たちの関心が金融政策から成長戦略に大きく移ったようである。「成長戦略の具体的な中身はどんなものになるのか?」「本当に意味のある成長戦略を政策として実行できるのか?」といった質問を受けることが多くなった。内外ともに成長戦略への関心が集まっているようだ。

 そうしたことを意識したのか、安倍晋三総理は成長戦略について自らスピーチを行うという力の入れようだ。それも1回ならず3回に分けてスピーチをしている(4月19日、5月17日、6月5日)。決まった政策から速やかに発表していくということだ。今後も成長戦略については追加的な検討を行っていくということなので、成長戦略スピーチの第4弾、第5弾もあるだろう。

 安倍内閣の目指す「回復の10年」を実現するためには、「失われた20年」の間に失ったもの、あるいは対応できなかったことに正面から取り組む必要がある。それは規制改革のような難しい問題に取り組むことである。

 「第1の矢である金融政策や第2の矢である機動的な財政政策は、総理の主導で日本銀行や財政当局に指示すれば実現可能だ。しかし、規制改革などの制度改革には必ず利害関係者がいて、強く抵抗するだろう。第3の矢で成果をあげるのはそう簡単ではない」といった見方をする人もいる。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

「伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論」

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