元マイクロソフト日本法人の会長で、現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の古川享さんをホストに迎えて、古川さんが日本を変えていく存在と期待を寄せるスマート・ウーマンの方たちとの対談を掲載しています。池田美樹さんは、出版社の編集者としてご活躍される一方で、ツイッターやブログを通じた個人的な情報発信を続けてこられ、ツイッターでは約9000人ものフォロワーがいらっしゃいます。少女の頃から「伝える」こととテクノロジーに魅かれてきたとおっしゃいます。

季語のツイートでフォロワー約9000人に

「いつも表現の助けとなってくれるのがIT」(マガジンハウス・池田美樹)――古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音いけだ・みき
熊本大学仏語仏文科出身。二度の転職を経て、現在株式会社マガジンハウス勤務。『Olive』『Hanako』『クロワッサン』『anan』各編集部、書籍部などを経て、2013年より企画制作部プロデューサーとして企業タイアップページを中心に編集・企画・制作。俳句歴17年、俳号如月美樹。2011年より2年間、NHK BS-1『地球テレビエル・ムンド』レギュラーMC、2012年より1年間、NHKラジオ第1にて「感じる俳句」台本・パーソナリティーを務めるなど、出版社の枠を越えて活動。2013年5月より「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」にブロガーとして参加中。
ブログ「EDIT THE WORLD
Twitter: @IKEDA_MIKI
Photo by Sam Furukawa

古川享(以下・古川):池田さんはマガジンハウスの社員で、ずっと女性誌の編集をされてきましたが、一方で、NHK BSの情報番組『地球テレビエル・ムンド』のMCをやられたり、ラジオ番組のパーソナリティをされたり、俳句の世界でも様々な企画を試みてこられたとうかがってます。本業を持ちながら、一見無関係にある分野でも活発に活動されている。どうやって守備範囲を広げてきたのか、そのバイタリティの秘訣がどこにあるか、うかがいたいと思っています。まずは現在どんなことをされているか、お聞かせいただけますか。

池田美樹(以下・池田):マガジンハウスでは、『Olive』『Hanako』『クロワッサン』『anan』などの女性誌を編集してきました。新雑誌の企画を立てる部署に在籍してテスト版を出したこともありますし、書籍部にも在籍していました。半年前に企画制作部という部署に異動し、現在は企業のタイアップページを中心に企画・制作するという立場です。もともとマガジンハウスは企業タイアップが得意な会社で、各誌編集部にいる間も担当し、ウェブ企画なども積極的に試みていたのですが、今は弊社の女性誌全般で、企業の商品やサービスをターゲットに合わせて魅力的に伝えるというページのプロデュースをしています。

古川:ツイッターをされていて、ネットをかなり使われていますね。その心は何でしょうか。

池田:私にとっては、大きくいうと、紙媒体は会社の仕事で、デジタル媒体は個人。その個人としての発信を助けてくれるのがITだと考えています。ツイッターは2009年に始めたのですが、最初は何を書いていいかさっぱりわかりませんでした。私が出せるコンテンツは何だろうと考えたときに、14年間続けてきた俳句のアーカイブがあると気がつきました。ただ、私の俳句作品をそのまま出しても興味を持たれないだろう、季語をツイートしたらおもしろがってくれる人がいるかもしれないと考え、季語のツイートを始めました。

 そのうち「季語をツイートしている美樹さん」と言われるようになり、雑誌編集のことや、私がおもしろいと思った様々なことをツイートすると、リプライしてくれる人も増えてきました。現在、フォロワーは約9000人になりました。

 ツイートを見て、私の季語の話や俳句を1冊の本にまとめたら、という話もいただいたりするのですが、それではちょっと印象が違ってしまうのではないかと思っています。メディアはタイムラインになっていくと最近よく言われますが、私の季語の話もタイムラインの中にポンと異物として現れるからこそ、おもしろがってくれるのではないでしょうか。