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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

相次ぐ提携で自社の弱みを補う日本郵政の戦略

永沢 徹 [弁護士]
【第17回】 2008年2月15日
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 昨年2007年10月に民営化した日本郵政。民営化したことで今後事業をどう展開していくのか、それが大きな課題だ。

 というのは民営化したからといって、民営化にふさわしい人材が内部にいるわけではなく、そういう意味では外部に頼らざるを得ない。民営化をした後で他社と提携し、事業の多角化をしていく、またはM&Aで自社にないものを取り込んでいくというのは、基本的な戦略として十分にあり得る。ある意味、JTの多角化と似てくるのかもしれない。自社の事業に関連性のありそうなところとアライアンスを組んで、場合によってはM&Aをするという、多角化の基本戦略である。

鍵となるのは、
「物販」と「個人向け金融」

 日本郵政として、自社の24000もの全国ネットワークと余剰人員をどう活用していくのか。その鍵を握るのは、1つは「物販」、もう1つは「個人向け金融」になるだろう。個人向け金融商品については、すでにゆうちょ銀行が、スルガ銀行やシティバンク、新生銀行との提携をしている。物流部分においては、日本通運との提携も始まっている。また、今月12日に新たに発表されたローソンとの包括提携についても、物販強化という戦略に則っているものであろう。

 もともとローソンとは、2003年から、郵便ポストの設置、ポスタルローソンの開業、郵便小包(ゆうぱっく)の取り扱いなど、一部の業務提携が始まっていた。今回の包括提携では、今後3年間で800店もの共同店舗を出店、郵便局10000店へのローソンからの商品提供、さらには相互出資の可能性も打ち出している。ローソンとしては対セブンイレブン戦略であり、日本郵政としては、物流における日本通運との提携に次ぐ、ヤマト運輸・佐川急便追撃のための1つの戦略であるだろう。

 このように日本郵政は、提携によって自社の弱み(事業ノウハウの貧弱さ)を他社で補おうとしている。また、提携相手であるローソン、日本通運、スルガ銀行やシティバンク、新生銀行なども、自社の弱み(ネットワークの弱さ)を日本郵政で補おうとしているのである。

全銀システム加入で、
存在感を増す「ゆうちょ銀行」

 また、ゆうちょ銀行は来年1月からではあるが、全国銀行協会が運営する決済システム(全銀システム)への加入が認められた。これでATMにおける全国の金融機関への直接振り込みが可能となり、利便性が向上。スルガ銀行だけでなく、他の中小金融機関も相次いでゆうちょ銀行と提携を進める可能性もあるだろう。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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