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田中秀征 政権ウォッチ

イラン大統領選で民主主義が機能した!

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第188回】 2013年6月20日
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 全世界が注目した今回のイラン大統領選挙で、イラン国民は実に賢明な選択をした。予想外の大きな政治転換を実現した。国民自らの手によって困難な状況を打開する窓を開けたのである。

 選挙は保守穏健派のロハニ師が得票率50.71%で決戦投票を待たずに圧勝。本命と言われたアフマディネジャド現大統領の強硬路線を引き継ぐジャリリ候補が得票率11.36%と惨敗。穏健派の鮮やかな「過激主義に対する勝利」(ロハニ師)に終わった。

 しかも、当初30%台と低調が予想された投票率も72.7%に達し、民主主義が死んだと言われたイランで、民主主義が機能して一大成果を収めたのである。

 なぜそうなったのか。その原因を検討してみよう。

ロハニ新大統領が誕生した
4つの理由

(1)経済制裁によるイラン経済の停滞と国民生活の困窮が原動力となった。

 イランは核開発問題で経済制裁を受けてきたが、とりわけ原油の輸出制限が経済を疲弊させた。外貨収入の8割を占めてきた原油輸出を止められて外貨価値が3倍を超えて急上昇。輸入品がインフレを招いて低所得者の生活を直撃した。それでも現大統領は「制裁の影響はない」と強がって民衆の怒りと反発を強めた。

(2)アメリカ、イスラエルからの武力攻撃が現実味を増し、「戦争の恐怖」が多くの民衆に行動を促した。

 イラン国民は、アメリカ、イスラエルが有言実行の国であることを知っている。それどころか、ときには不言実行の挙に出る国であると信じている。

 イスラエルは既にイランの核兵器保有を阻止するために核施設を空爆することを予告している。核保有まで1年とすれば、1年以内に戦争が始まることになる。「イスラエルは世界地図から消される」と広言してきた現大統領の強硬路線では戦争は避けられない。

 アメリカのアフガン、イラク戦争での容赦ない軍事行動。それにイランではかつての電撃的な人質救出作戦も忘れられない。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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