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うつ病のセルフケアは運動で
単独でも薬と併せても効果的

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第154回】

 一種の適応障害である五月病。こじれるとうつ病に進む恐れもある。うつうつとした気分や何をしても楽しくない、無関心といった気分が一日中続き、なおかつ2週間以上継続するようなら要注意である。早めに手を打つことが大切だが、かといって薬は飲みたくない。そういう方は、運動療法を試してみよう。

 運動療法には抗うつ効果がある。運動単独でも効き目があるし、抗うつ薬やカウンセリングとの相性もよい。ただ、どんな運動をどれだけ? という点があいまいだった。米テキサス大学の精神科チームは、複数の研究結果からうつ病に効く「運動処方せん」を検討し、専門誌に報告している。

 それによると、筋力トレーニングより、ランニングやウオーキングなど有酸素運動のほうが効き目は高い。運動時間は1回、45~60分を週に3~5回行うことが望ましいようだ。運動強度はややきつめ。メタボ対策の運動療法よりは若干、ハードである。また、運動療法の効果を最大限に発揮するには、少なくとも2、3カ月は継続する必要がある。

 うつ病患者がこなすには少々ハードルが高いようだが、研究者によると、中断率は薬物療法と同じ程度の15%ほどにとどまる。薬が効きにくい「難治性」のうつ病に対する効果も確認されている。

 運動療法の抗うつ効果は、身体活動によって脳内の神経伝達物質や脳神経の新生が促進されるほか、抗うつ作用を持つ「VGF」という物質の上昇によるものだと推測される。また、先行研究によると抗うつ薬単独よりも運動療法を併用したほうが再発率は低い。薬物に頼ることなく「一所懸命に運動に取り組むことでうつ病を克服した」という達成感と自己効力感が、気分を上昇させるようだ。

 具体的な目標を設定したうえで、行動を計画し実行する過程は、精神療法の一つである行動療法にも通じる。すでに抗うつ薬を服用している方も、未治療の方も、目標運動量を低めに設定して歩くことから始めてみよう。その際は自分で「できる」と思うレベルから、さらに一段階下げるのが継続の秘訣である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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