中国では銀行間で資金の貸借をするコール市場(Shibor)の利息(翌日物)が6月20日に13.44%に急騰し、6月24日には上海証券取引所で株価指数が5.30%も下落、2009年8月31日の水準に戻った。「流動性が不足」と金融界が大合唱しているなか、中国中央銀行はじっとして動かない。100日前に首相になった李克強氏のバブルを潰す決心は、すこしも変化していない(文/在北京ジャーナリスト 陳言)。

現金不足の銀行
株価暴落の証券

「また銀行からのショートメールか」と思ったら、本当にそうだった。「5万元から。36日間で年利4.3%」。数日前に来たショートメールは、24日ごろには「5万元から。62日間で年利5.2%」に変化した。

 一般市民にとって、財テクなど別世界の話だ。たまに銀行へ預金をおろしに行っても、「200万元からスタート、1年で4%の金利がつく」という超金持ちを優遇する横暴な広告を横目で見ながら、庶民生活とはあまりにもかけ離れていると思ったものだ。しかし、今や状況が一変した。

 短期コール市場やShiborなどの話は、庶民にはさらにわからない。しかしここ1週間は、国営の中央テレビから、民間の不動産やキャバレーの広告をたくさん載せるタブロイド紙まで、いきなり全員が金融専門家になり、「いままで1%程度だった金利は、20日に13.44%に高騰」などと合唱する。

 証券会社の株価ボードでは、現在の各銘柄の株価を赤色(上昇)か緑色(下落)で示している。すでに若い投資家は、パソコンなどによる取引に変えているが、50歳前後で初老の人たちはどうしても馴染めず、クーラーの効いた証券会社の営業所に詰めて、人の株談義を聞きながらカウンターで取引する。これまで徐々に下落していた株価は、24日になるとボードがほとんど緑一色に。初老の投資家たちはクーラーをつけなくても十分に寒さを感じている。株価は4年前の水準に下落し、戻りはあまり期待できない。

 北京市内から30kmも離れた郊外でも、ポツンと高層ビルが建てられている。道路事情も良くないし、鉄道交通の手段などはほとんど考えられていない。それなのに住宅は建設されている。夜になっても、すでに出来上がったビルに灯りがともる気配はほとんどない。にもかかわらず、北京からさらに遠いところに、新しい建築物がつくられようとしている。