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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

津波で喪失した浜の復活なるか?
祭りがつなぎとめるそれぞれの悲願

沢木真木子
【第6回】 2013年7月1日
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いわき市随一の海水浴場で知られた豊間(とよま)地区。2011年3月11日の津波で町の8割が失われ、土台だけになった家々の跡に雑草が生い茂る。地元を離れる人も多く、若い世代は半減した。観光の町の再興にまだ光も見えないなかで、自ら立ち上がったのは年寄りだった。(取材・文・写真/沢木真木子〈さわき・まきこ〉)

津波で離れた人々が
再び神輿をかつぐ

 「エイサー、エイサー 、エイサー、エイサー」

 5月初め。初夏の陽に輝く豊間の海岸に、神輿を担ぐ男たちの威勢のいい掛け声が響いた。

震災の年は中止。「せめて祭りだけは」と昨年から再開した

 御輿は砂浜から海中に担ぎ出され、太平洋の波しぶきで洗い清められる。「お潮採り」という。昔、豊間に流れる霊通川に現れたという。

 浜の守り神を年に一度、海に還す神事だ。400年ほどの歴史を経て、戦後の混乱で途絶えた後、96年に復活し、浜になくてはならない祭りになった。

 「震災前は大漁旗を立てて。何百人も集まってきて賑やかだったんだ」

 御輿の担ぎ手集団である「海友会」の鈴木利明会長(72)はそう語る。

 鐘の合図で気持ちをひとつにして、担ぎ手たちは御輿を持ち上げる。大きな赤い団扇(うちわ)を持った男衆が先導し、時に御輿を上下に激しく揺らしながら、かつての集落跡に海の生気を振りまいていく。

 「なんといっても祭りの魅力は男気だっぺな。浜の男は気持ちがよくて、『それ、やっぞー』って声をかければ、みな『ヤッペー』と応じてくれるのさ」と、鈴木会長は笑う。

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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

 原発事故報道に埋もれた「フクシマ」のリアルに、百戦錬磨のジャーナリストたちが迫る。新聞協会賞受賞、朝日新聞「プロメテウスの罠」の依光隆明。「フクシマ論」で一気に注目を浴びた気鋭の社会学者・開沼博。地元東北を代表する地方紙、河北新報で気を吐く編集委員・寺島英弥。ネットの視点を持つ前ニコニコニュース編集長・亀松太郎。そしてデータジャーナリズムの第一人者・赤倉優蔵。5月、一斉に福島県いわき市に入り、グループを率いて競い合うように取材した彼らが、震災から二年を過ぎた被災地で見たものは。

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