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被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま

「戻りたい」わずか25%でも再建計画に変更なし
閖上の住民意向調査は何のために行われたのか?

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第7回】 2013年5月27日
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東日本大震災前には約5500人いた宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区の住民の大量流出が現実となりそうだ。市が21日に市議会震災復興調査特別委員会で公表した「閖上地区まちづくり個別面談集計結果(平成25年5月11日版)」によると、東日本大震災で地区全体が壊滅的な被害を受けた閖上に「戻りたい」とした住民はわずか25.2%にとどまり、9ヵ月前の調査より大幅に減っている実状だった。

前回調査から9%も減少
「戻りたい」人は4人に1人だけに

傍聴に訪れた地権者たちが、配布された調査結果を真剣に眺める
Photo by Yoriko Kato

 住民への意向調査は、今年4月8日から5月11日にかけて面談形式で行われた。2012年夏の調査に続いて2回目となり、9ヵ月前に比べてどのような変化が見えてくるのか注目されていた。

 回答したのは対象者の81.5%にあたる1823人。このうち、市が計画を進める現地再建のエリア(土地区画整理事業区域)内での住宅再建や災害公営住宅への入居を希望した人は459件で、全回答者のわずか25.2%となった。前回に比べて9ポイントも減少した。

 一方、現地再建エリア外(仙台東部道路の西側)の災害公営住宅への希望者は13.5%の246人となった。

 そのほか、閖上地区外での土地取得や賃貸住宅への入居を希望する人は23.3%(425件)、すでに別の場所へ移転した人は22.8%(415件)、残りは、元から別の場所に住んでいた人10%(184件)、未定5%(95件)などという結果になっている。

 市は、壊滅的な被害を受けた閖上地区のうち、1丁目と2丁目の45ヘクタールを3メートルから5メートルかさ上げしたうえでの市街地の再建を目指している。しかし第5回(『1年ぶりの閖上地区・住民説明会に800人 住民軽視で進む名取市「現地再建策」の中身』)でも紹介した説明会での住民の反応のように、津波に対する恐怖感をぬぐえずにいる人や、閖上はもはや住むべき場所ではないと考える人も少なくなく、市側と市民との意識の溝が深まっている。

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加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま

東日本大震災の津波で700人以上が亡くなった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では今、どこに町を再建するかを巡り、住民と市長・行政の間で大きな隔たりが生まれている。この連載では、閖上地区を具体例としながら、震災から2年経った今だからこそ見えてきた被災地の直面する問題を明らかにする。 

「被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま」

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