旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第50回】 2013年7月5日 車 浮代

三大天下人の好物だった「瓜」
乾いた喉を潤す、夏の定番デザートにも

 ちなみにこの時、徳川家康は籠《かご》売りに、前田利家は高野聖(僧侶)に扮しました。

 時代が下って江戸初期、幕府は江戸でも真桑瓜を作りたいと、真桑村から農民を呼び寄せ、鳴子と府中の御前畑で栽培させました。

瓜の味噌漬け
【材料】白瓜など…1個/味噌…大さじ5/砂糖…大さじ1/みりん…大さじ2/ ※お好みで赤唐辛子…1本
【作り方】①瓜は縦半分に切って種をスプーンでこそげ取る。②味噌、砂糖、みりん、お好みで赤唐辛子(辛い方が好きな方は種ごと)を合わせてよく練り、瓜の内側に塗ってサンドイッチ状態にする。③保存袋に残りの味噌を入れ、瓜を入れて全体に味噌が回るように袋の上から揉み、空気を抜いて冷蔵保存する。④2日目以降、味噌を洗い落して食べやすい大きさに切る。5日以内に食べきる。

 これが後に、内藤新宿の「鳴子瓜《なるこうり》」と、府中の「葵瓜《あおいうり》」というブランド野菜になりました。

 これだけ人気が高かった真桑瓜が、なぜ姿を消してしまったかというと、昭和37年(1962年)にプリンスメロンが発表されたからです。

 実はプリンスメロンは、真桑瓜と西洋メロンの掛け合わせで誕生した果物で、高価なマスクメロンに代わる安さと美味しさゆえ、微妙な甘さの真桑瓜は必要なくなった、というわけです。

 江戸時代中期に出版された、挿絵入り百科事典『和漢三才図会《わかんさんさいずえ》』 に、「瓜の類はそれぞれ異なっていて、その用い方には二種ある。ひとつは水菓子として供するもので、甜瓜、西瓜などがそれである。もうひとつは蔬菜《そさい》として供するもので、胡瓜・越瓜《しろうり》などである」とあります。

冬瓜のそぼろ煮
【材料】冬瓜…1/4個/鶏の挽肉…100g/出汁…400ml(2カップ)/酒…大さじ1/みりん…大さじ1/塩…小さじ1/2/醤油…小さじ1/水溶き片栗粉…大さじ2/生姜汁…小さじ1
【作り方】①冬瓜は4cm角程度に切って皮を厚く剥き、ワタを切り落としたら、アクを取りながら10分程度下茹でする。茹で上がったらザルに取って水気を切る。②鍋に出汁、酒、みりん、塩、醤油を入れて中火にかける。沸騰後、①を入れて落としぶたをし、弱火で5分程度煮たら、ふたをして自然に冷ます。③鶏の挽肉は沸騰した湯に入れ、再び沸いてきたらザルに上げ、水で軽くすすいで水気を切る。④②の鍋から冬瓜を取り出して器に盛り、残った出汁に③を入れて中火にかける。5分程度煮たら水溶き片栗粉を回し入れ、よく混ぜながら1分煮、生姜汁を加えて冬瓜にかける。※冷やして食べてもおいしいです。

 『第25回 胡瓜』で書きましたように、江戸時代はその苦さのため、胡瓜はあまり人気がありませんでした。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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