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2030年のビジネスモデル

現代シェア住居は、人がいて楽しい家をつくるための「モノづくりの逆襲」

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第8回】 2013年7月16日
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「成熟した単身者」が求める居住空間

 かつて「ひとり暮らし」といえば、家族からいったん独立して生活し、のちに自分が結婚して新しい家族を作るまでの数年程度の比較的短い期間を指していた。代表的な居住形態はワンルーム住居。ひとり暮らしの期間は短いから、このときくらいは他人に干渉されずに自由に好きなように暮らしたいと考える人が多く、孤独を感じるというよりは、独立の自由に相対的な価値があった。

 しかし今、晩婚や未婚の増大によって、単身の期間が30代、40代にまで長期化し始めており、人によっては生涯を通じて単身が固定化するケースもある。

 「成熟した単身者」の増大。もはやひとり暮らしは、若い時期の一過性の状態という従来の常識では捉えきれなくなっている。こうなってくると、独立の自由も大事だが、孤独の寂しさを癒したいという価値観も無視できない。ずっと毎日、家に帰ってひとりというのは寂しい。

 そこで孤独なワンルーム住居ではなく、人がいて楽しい家=シェア住居という選択肢を選ぶ人が増え始めている。シェア住居のルーム数はここ数年、年率30%ほどのペースで急増しており、2013年末の供給数は2万を超える勢いだ。シェア住居への入居者は20代、30代が90%以上と圧倒的な中心層を形成している。「成熟した単身者」の居住スタイルはこの先どう変化していくのだろうか。

ワンルーム住宅はモノづくりの敗北、
現代シェア住宅はモノづくりの逆襲

 急増するシェアハウス市場において、多様なシェア住居のオペレーター(運営者)と入居希望者のマッチングを仲介するメディアビジネスを営むひつじ不動産(株式会社ひつじインキュベーション・スクエア)の北川大祐社長は、2つのとてもシンプルな質問を発した。

 -「楽しい家」と「楽しくない家」のどちらがいいですか?
 -「人がいる家」と「人がいない家」のどちらがいいですか?

 一番目の質問の答えは「楽しい家」だろう。でも二番目の質問の答えはやや微妙だ。人がいる家はにぎやかで温かいけれど、時々人間関係が面倒臭くなる。逆に、人がいない家は寂しいけれど、個人の自由がある。どちらがいいだろう。

 もし「人がいる家」というのを、いつもべったり一緒だとか、共同生活だとか考えずに、寂しいときや話したいときには誰かがいると考えるならば、「人がいる家」のほうがいいのではないか。人は本能的に誰かとコミュニケーションを求める「社会的動物」であり、多くの人は「楽しい家」「人がいる家」を潜在的に欲しているのだと思う。

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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


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未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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