低調な選挙戦に終始した今回の参院選だが、東京選挙区から無所属で当選した山本太郎氏には大きな期待が集まっている。

 私も彼の街頭演説を池袋まで聴きに行ったが、やはり盛り上がりや勢いには確かなものがあった。

 話の内容は、“脱原発”と食品安全の観点からの“反TPP”の2つが軸。前者が7割、後者が3割くらいを占めていたようだ。

 頭の右上には、かなり大きな円形脱毛症状があり、彼がさまざまな苦悩や困難に遭遇してきたことを思わせた。

 私は、彼と親しかったわけではないが、大震災の年の夏に大阪のテレビで一度一緒になったことがある。彼が原発事故で大きな衝撃を受けて、矢も盾もたまらず1人で猛然と走りだした頃である。

 私はそのとき、彼の目を見て並々ならない“本気”を強く感じた。その後の彼の言動も注視してきたが、私の最初の印象はそのまま強まるばかりで期待感もふくらんできた。

山本太郎氏から感じた
脱原発への“本気度”

 なぜ今回の選挙でも彼に期待してきたか。それはきわめて簡単な理由である。原発問題に本気な候補は彼1人だけとは言わないが、その本気の度合いでは全候補の中でも彼が突出していると思ったからだ。

 おそらく共産党が躍進したのも、他の党と比べて脱原発への本気度が高いと受け取られたのだろう。