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“李コノミクス”は世界的なリスクオフを招くか?
大胆なシャドーバンキング封じ込め作戦の妙薬と毒薬

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第286回】 2013年7月30日
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成長率が7%台まで鈍化する中国
思い切った変革を進める“李コノミクス”

 現在、中国経済が曲がり角を迎えている。かつて2ケタの成長率を誇っていた中国経済は、足もとで7%台の成長に鈍化しており、非効率な経済構造、過剰な生産能力、シャドーバンキングなどの未成熟な金融システム、政治の腐敗など、深刻な問題に直面している。

 共産党の最高指導者である習近平・李克強のコンビは、こうした問題に正面から対応する姿勢を示している。特に李克強首相は、主に経済・金融の分野でかなり思い切った変革を実施しており、同氏の政策は“李コノミクス”と呼ばれている。

 同氏の改革の基本は、「規模の大きな経済は、自由な価格形成メカニズムによって効率的に運営されるべきだ」との考えに基づいている。

 7月20日にも、規制管理下にあった貸出金利の下限金利を撤廃することで、金融の自由化に向けた一歩を踏み出した。その措置の狙いは、無秩序に拡大しつつあるシャドーバンキングを縮小することにある。

 思い切った変革は、短期的には様々な分野で軋轢をもたらすことが予想される。しかし、そうした痛みを伴う改革は、中長期的には経済の効率化に寄与するはずだ。

 問題は、中国の政治・経済情勢が、“李コノミクス”の当面の痛みに耐えることができるか否かだ。“李コノミクス”を推進してそれなりの成果が上がれば、行き詰まりつつある中国経済を蘇生することができるだろう。

 逆に、“李コノミクス”が道半ばで放棄されると、中国経済は一段と厳しい状況に追い込まれる。それは、世界経済にとっても重大なリスク要因だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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