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ぼくらの給料は上がるのか

景気が回復しても日本の給料が増えない4つの理由
雇用・賃金の改善を阻む古い経済構造の本質的課題
――杉浦哲郎・みずほ総研副理事長に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第4回】 2013年8月9日
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景気が回復して給料が上がる――。第二次安倍政権の発足後、人々はアベノミクスに対してそんな期待を抱いてきた。先頃参院選で自民党が大勝し、何のしがらみもなく政策を行える状況になった今こそ、アベノミクスの真価が問われている。日本の賃金は本当に増えるのか。だとしたら、いつ頃からその兆候は見え始めるのか。雇用事情に詳しい杉浦哲郎・みずほ総合研究所副理事長は、賃金の本格的な回復には日本経済の構造変化が不可欠と説く。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、林 恭子)

15年間で増えたのは非正社員ばかり
雇用の安定が失われ賃金は低下を続ける

――アベノミクスで、景気回復への期待が高まりつつあります。そんななか、企業で働く社員の最大の関心事と言えば、「自分の給料は上がるのか」、また「上がるとしたらいつ頃から上がり始めるのか」ということです。近い将来、実際に給料が上がる見通しはあるのでしょうか。

すぎうら・てつろう
みずほ総合研究所副理事長。1954年生まれ。早稲田大学卒。77年富士銀行(現みずほファイナンシャルグループ)入行。同行調査部、富士総合研究所研究開発部主任研究員、ニューヨーク事務所長、経済調査部長、みずほ総合研究所執行役員、チーフ・エコノミストを経て現職。 『アメリカ経済の光と影』『病名:【日本病】』『日本経済の進路2003年版』など著書多数。

 これまでの経緯を見ると、すぐには難しいかもしれません。過去の雇用と賃金の推移を考えましょう。金融危機が起きた1997年から2012年までの時間軸で見ると、この15年間に実質GDPは9.4%成長しています。

 この期間、雇用者数も増えています。ただしその内訳を見ると、正社員が472万人も減った一方で、非正社員は逆に661万人も増え、雇用者全体の3分の1超に及んでいます。

 こうして、雇用者全体の中で賃金の低い非正社員が占める割合が増えた結果、ピークだった1997年からの15年間で、名目賃金は12.8%減少。実質賃金も9.2%減りました。

 つまり、経済は成長したけれど増えた雇用は全て非正社員だった。その結果雇用の安定性は失われ、生活水準も大きく下がったというわけです。

 2000年代中盤の小泉政権時は、戦後最長の景気回復期でしたが、雇用機会が減ったので、賃金の押し上げにはつながらなかった。さらに2008年のリーマンショックを機に、労働者の賃金はますます低下。安倍首相が政権に返り咲く直前まで、このような状況が続きました。

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ぼくらの給料は上がるのか

アベノミクスへの期待により、社員の賃上げに動く企業がちらほら登場している。その一方、「そう簡単に賃金が上がるはずがない」と先行きをシビアに見る専門家も多いのが現状だ。給料はビジネスマンの一大関心事。議論が熱を帯びている今、この連載では「ぼくらの給料は本当に上がるのか?」を多方面から分析する。 

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