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風が吹けばおけ屋が儲かる?
地下水上昇で“潤う”東京都の懐

週刊ダイヤモンド編集部
2013年8月20日
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 その額、1667億円──。これは、東京都が2012年度に徴収した“下水道”料金(調停金額)の総額だ。その水量は、体積で東京ドームの887個分に相当する。

 下水道料金の徴収対象は主に、井戸水の排水、建設現場などから排出される工事湧水、そして、「最も徴収額が多い」(東京都下水道局)とされるトンネルやビルの地下構造部など既存の地下建造物に流れ込む湧水だ。

 「都心で進む地下水位の上昇が、巡り巡って現在の下水道料金徴収額に影響している」と東京都の幹部は苦笑いを浮かべる。

 日本の鉄道の顔、JR東京駅。昨年10月に、「赤レンガ駅舎」の通称で知られる丸の内駅舎の保存・復元工事が終わり、連日多くの観光客が詰めかける。だが、その足元、地下27メートルに位置する総武快速・横須賀線のホームが現在、“水没”状態にあることに気づく人はいない。

 1972年の建設当時、ホームよりさらに8メートル下に位置していた地下水位が、わずか四半世紀後に20メートルも上昇し、ホームの天井よりも上に達した。

 重さ200キログラムもの鋼鉄製のイカリ(アンカー)を70本も打ち込み、船の係留のようにホームを固定するという荒療治が施された。

 「言うまでもなく、皇居周辺は江戸時代から東京の中心地。裏を返せば、それだけ地下水が豊富で井戸が掘りやすい場所だったということ」と都下水道局幹部は言う。

 時は移り、井戸を掘る必要がなくなった現代も、丸の内かいわいは東京の中心地のままだ。だが、地上の景観は一変しても、地中は江戸時代とそんなに変わるはずもない。街の開発事業は、他のエリアと比較して困難を伴う。

 丸の内かいわいで再開発を進める三菱地所の担当者は言う。「関係者の間では、丸の内かいわいは地下水位が高いことで知られている。このエリアを開発する際は、施工計画の段階からより細心の注意を払う」。

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