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国内発売予定がない「ニンテンドー2DS」は
任天堂海外市場の救世主になる!?

石島照代 [ジャーナリスト],小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第40回】 2013年9月3日
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裸眼3D機能と折りたたみ機能を廃した「ニンテンドー2DS」 (c)2013 Nintendo

 米国任天堂は現地時間8月28日、携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の3D機能を外した廉価版「ニンテンドー2DS」を10月12日から発売すると発表した。2DSの価格は122.99米ドルで、標準版「3DS」(169米ドル)より40米ドル、画面拡張版「3DSLL」(199米ドル)よりも70米ドル安く設定されている。

 この2DSは米国のほかに英国と豪州で発売されるが、日本の任天堂によると「日本での発売は予定されていない」(広報室)という。それは、なぜなのだろうか。

2DS施策は完全なポケモンシフト
会社のプライド以上に大切なポケモンの売上

 「ニンテンドー2DS」の発表は、発売予定がない日本の業界関係者やゲームファンの間でも大きな衝撃をもって迎えられた。3DSのメインコンセプトである裸眼3D機能を外したことと、「ニンテンドーDS」シリーズから継続されていた二つ折りをやめてスマートフォンを思わせる一枚板デザインを採用したことも、ゲームユーザーには任天堂の「迷走」と映っており、特に従来からの任天堂ファンの失望を誘っている。

 しかし、筆者ら(石島、小山)は今回の2DS施策を任天堂の迷走とは捉えておらず、むしろ、任天堂復活の一里塚になりうると考えている。その理由は、2DS発売を全世界同時発売予定のポケモン新作「ポケットモンスターX・Y」と同日の10月12日に行うことに尽きる。

 つまり、今回の2DS施策は完全に「ポケモンシフト」であるということだ。岩田聡社長がコミットメントした2014年3月期決算における営業益1000億円達成のためには、ポケモンを全世界で1000万本以上売ることが不可欠であり、そのために2DSを出した、と考える方がしっくりくる。

 なぜ、ポケモンがそれほどまでに重要なのか。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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