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『はだしのゲン』はあなたの心に生き続けるか?
「見る者への配慮」に覚える違和感の本質と課題

宮崎智之 [フリーライター]
2013年9月6日
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これは本当に日本で起きたことなのか――。漫画『はだしのゲン』を学校の図書館で読んだとき、誰もが衝撃を受けたに違いない。今夏、戦争や原爆の悲惨さを後世に伝える漫画として高い評価を得てきたこの作品が、松江市の小中学校の図書館で閲覧制限されていたことが報じられ、大きな波紋を広げた。時を同じくして、広島平和記念資料館の目玉展示物「被爆再現人形」の撤去を広島市が決めたことに対して、市民の反対運動が盛り上がっている。「ゲン問題」は閲覧制限の撤回という形で一応の決着を見たが、戦争の教訓を今に伝えるこれらの作品が人目から遠ざけられようとすることに対して、「戦禍の記憶が風化してしまうのでは」と危惧する声も多い。教育者や行政が行う「見る者への配慮」に対して、我々が覚える違和感の本質と課題とは?(取材・文/フリーライター・宮崎智之、協力/プレスラボ)

戦争・原爆の記憶が風化してしまう?
大きな波紋を広げた「ゲン」の閉架問題

 これは本当に日本で起きたことなのか――。

 子どもの頃、学校の図書館で漫画『はだしのゲン』を初めて手に取って読んだとき、きっとあなたは一生忘れることのできない衝撃を受けたのではないだろうか。

『はだしのゲン』は、太平洋戦争末期の1945年8月6日、人類史上初の原子爆弾が投下された広島を舞台に、そこでたくましく生きる主人公・ゲンの目線から、戦争や原爆の悲惨さを克明に描いた人気作品である。昨年12月に逝去した作者・中沢啓治さんの体験が基になって描かれた。

 戦争反対を唱えて「非国民」と呼ばれる父を持ち、周囲から嫌がらせを受け続ける無念、原爆投下直後に生きながら焼かれていく家族を救うことができない悶絶、焼けただれ、変わり果てた姿で廃墟をさまよい、次々にこと切れていく被爆者たちの姿を目の当たりにする驚愕、そして終戦後、原爆で全てを奪われた人々との出会いと別れの中で痛感する国家や社会の矛盾――。

 同作品では、現代人には知ることのできない当時の惨状や人々の情念が、浮き彫りにされていた。いつしか『ゲン』は、原爆や放射能の悲惨さ、戦争の理不尽さなどを後世に語り継ぐ教科書的な存在となり、長らく国内外で読み継がれてきた。

 そんな『ゲン』に対して、島根県松江市の小中学校図書館で閲覧制限がかけられたことが、この夏大きな波紋を広げた。

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宮崎智之 [フリーライター]

フリーライター。1982年3月生まれ。地域紙記者を経て、編集プロダクション「プレスラボ」に勤務後、独立。男女問題や社会問題、インターネット、カルチャーなどについて執筆。
ツイッターは@miyazakid
 

 


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