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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

搭乗率アップを狙い職員を税金で飛行機旅行に動員!?
地方空港の衰退を食い止める行政のとんだ「禁じ手」

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第77回】 2013年9月10日
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松本空港の搭乗率アップを目論む?
長野県の職員が福岡で忘年会のなぜ

 取材先で思いもしなかったことに遭遇し、本来の取材テーマをそっちのけにしてしまいそうになることがある。偶然、目にした事実に心を奪われ、どうにも好奇心を抑えられなくなるケースである。十数年前のあのときがそうだった。

 何の取材だったかよく覚えていないが、懇意にしていたある県の幹部職員を訪ねたときのことだ。個室に通され、サシでのインタビューとなった。それまで何度も顔を合わせてきたので、和やかな雰囲気だった。

 話を一通りうかがい、ほっと一息ついた。出されたお茶に手を伸ばすと、テ―ブルの上にチラシが1枚、無造作に置かれているのに気がついた。何かなと思い、逆方向から文字を追ってみた。それは職場の忘年会の通知だった。

 「もうそんな時期なんだな」と感慨にふけりながら、視線を戻す寸前だった。「福岡でふぐ料理」という記述が飛び込んできた。読み間違いかなと思いじっくり見直したが、間違いない。職場の忘年会は福岡市内のフグ料理店で開くと書かれていた。

 たまたま目にしたチラシの内容にびっくり仰天した。そして、「ずいぶん豪勢だな」と羨ましく思い、「酔狂なことをするものだ」とやや呆れもした。なぜなら、目の前の人物が長野県の幹部職員だったからだ。

 こうなると、質問しないわけにはいかない。どうして忘年会をわざわざ福岡市内でやるのかという素朴な疑問である。単刀直入に尋ねると、幹部職員は恥ずかしそうな表情を浮かべながら、事情を話してくれた。

 長野県庁に勤める彼らがわざわざ福岡で忘年会を開くのは、何か特別な趣向があってのことではなかった。彼らの部署は県営松本空港(現在の名称は信州まつもと空港)を所管していた。松本空港は1994年に長野県が設置した地方空港で、伊丹便と新千歳便、それに福岡便の3つの路線をもつ。いずれも日本航空(JAL)便である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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