2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催地として、東京が選ばれました。接戦を勝利する決め手となったのは、最終日のプレゼンだと言われています。40万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者佐々木圭一氏が、この勝利を勝ち取ったプレゼンを、「伝え方」の切り口で解説します。

「イエス」と言わせた伝え方

 うす暗かった日本がぱっと明るくなるようなニュースでした。東京がオリンピック誘致を成功させた瞬間です。多くの人が事前のロビー活動も含め、努力を重ねてきたのだと思います。でも結果は、最後の最後までわからないとされていました。時に、マドリードのほうが優勢という情報もありました。この接戦で、決め手となったのは最終日のプレゼンだと言われています。

「日本のプレゼンは2016年招致と違い、2020年招致はよく考え尽くされていた」と海外のメディアから評価をうけています。プレゼンとは、簡単に言えばお願いです。「東京にオリンピックの開催地に選んでください」というお願いです。伝える相手であるIOCが東京に「イエス」と言いやすくなるようなお願いをしてきたのです。

 今回のプレゼンの勝因は、滝川クリステルさんが美しかったからなど、さまざまな評価が出ております。ですが、私は今回のプレゼンは、伝え方がよかったことが勝因だと考えています。

 今回の日本のプレゼンを、伝え方という点で考えてみると、気づくことがあります。「ノー」を「イエス」に変えるお願いのしかたには、7つの切り口があります。