今年が50周年記念大会
世界で最も過激な航空イベント

 「ジェットマンに会いたい」。
 その一心で、リノに来た。
 年に一度の飛行機のお祭りに、彼が初登場するのだ。

 米ネバダ州リノ。サンフランシスコからクルマで4時間強。ヨセミテ国立公園の自然と連なる人気保養地「レイクタホ」にほど近い、山間の盆地だ。標高は約1500m。またラスベガスほどの規模ではないが、大型カジノが数軒ある。

 同市街中心部から州道395号線で北へ約20km。周囲を小高い山に囲われるなかに、小ぶりなリノ・ステッド空港がある。ここは大型航空機の離発着があるリノ・タホ国際空港と比べ、個人パイロット向けであり、施設もかなり古い。しかし同空港の名は、世界的に知られている。その理由が「RENO National Championship Air Races and Air show」。今年は50周年の記念大会だ。

 日本を含めて世界各地で、自衛隊や軍が主催する航空ショーがある。戦闘機や小型飛行機のアクロバット飛行が披露される。またドイツ、ロシア、カナダなどでは商用や軍用の新型機がデモ飛行する航空見本市が開催されている。しかし、飛行機が数機同時に飛行しながら本格的なレースをやるというのは、リノが世界唯一の場所である。世界の飛行機好きは、「一生に一度、リノのエアレースが見てみたい」という。

 その現場、とにかく凄い迫力だ。

生身のカラダで最高速度300km/h飛行!<br />「ジェットマン」イブ・ロッシー氏(54歳)、<br />世界唯一のエアレース・米リノ初登場の現場から飛行機の大きさや種類で7クラスに分かれている。アンリミテッドクラスでは12気筒エンジンも登場。最高速度は時速800km近くに及ぶ Photo by Kenji Momota

 まず、速い! 参加機は機体や原動機の種類によって7カテゴリーある。そのなかで、レシプロエンジン使用の最高峰が「アンリミテッド」、ジェットエンジン搭載が「ジェット」。それらの最高速度は時速500マイル(800km)にも及ぶ。