ソーシャルメディアの普及によって、大量の情報が溢れ、人々のコミュニケーションの構造も劇的に変化しています。このような中、企業が生活者の心をつかみ、行動を喚起するのは以前よりも難しくなっています。連載第3回目では、いま企業に求められている「リアルタイムマーケティング」に成功したオレオの事例などを踏まえて、それを可能にする条件について考えていきます。

 

ビッグデータのジレンマ

 第2回までにご紹介の通り、マーケティングの世界でも「ビッグデータ」の重要性が増しています。実際に、現在ではメディアの視聴・聴取・購読データ、WEBのアクセスログ、ソーシャルメディア上の口コミ、マーケティング調査の結果など、多種多様なデータが取得可能となっています。

 しかしながら、「データをマーケティングに有効活用できていない」という悩みもよく耳にします。その背景には、以下のような課題があります。

スピードの課題:迅速にデータを分析し、それを元に戦略立案、実施を行う必要があるが、スピードに十分対応できていない
データ選択の課題:「本質」を知るためには、全てのデータソース、全てのデータを分析する必要はない。データの選択眼が重要だが、その選択眼が問われている
組織体制の問題:データ分析の結果から施策展開までを有効に結びつける組織・チームの編成ができていない

 本稿では、上記の課題を踏まえ、ソーシャルリスニングを中心に顧客の声を即座に読む方法、さらに、顧客が欲する情報と企業側が発信する情報をうまくマッチングすることで、顧客とつながり、エンゲージメントを構築するための方法論について考えます。