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大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

大川小の遺族がついに文科省へ意見書を提出
「検証委への不信感」に義家政務官はどう回答したか

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第27回】 2013年10月1日
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当時6年生だった大輔君を亡くした今野浩行さんが代表して、「遺族の思いを意見書にしました」と、意見書を手渡した
Photo by Yoriko Kato

東日本大震災の大津波で宮城県石巻市立大川小学校の児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった問題で、第三者による事故検証委員会が立ち上がって7ヵ月あまり。期待とは違う方向に検証が進むことに不信感を募らせていた遺族たちが、ついに、文科省へ意見書を持って乗り込む事態となった。

「最後の51分間を知りたい」
検証委が7ヵ月も放置するその真実

 「検証委員会を傍聴しても、一切51分間の様子を議論していない。いつ話してくれるんだ?少しでもいいから、あの子たちの様子をもっともっと知りたい。本当に、(津波に)流されるまで、様子を知りたい。それなのに、なかなか(検証委が)核心に触れてくれない」

 9月30日の午前、遺族のうち6人の父親が文部科学省を訪れ、義家弘介政務官に意見書の入った封書を手渡した。

<なぜ校庭に居続けたのか、遺族が知りたいのはそれだけである。51分間の真実を明らかにして欲しい>

 下村文科大臣宛の意見書の見出しには、太字でしっかり、そう綴られている。

 遺族は、今年2月から進められている事故検証委員会(委員長:室崎益輝神戸大名誉教授)について、検証が進むにつれ、その手法や検証内容、運営の姿勢に疑問を感じてきたという。

 検証委の最終報告の予定は12月。時間が限られてくるなか、遺族の「知りたい」思いを叶える検証でないことに、遺族たちは焦りを感じている。

 当連載でも触れてきた通り、検証が始まってからの7ヵ月あまり、検証委では一度も、子どもたちが津波に襲われるまでの約51分間に関する調査も、議論もされないままだ。

 これまで検証委会合で報告された内容のうち、当日の状況について調査されたのは、当日の気象・余震状況、津波の来襲状況、教職員の対応状況となっている。

 ただし、8月25日の第4回の検証委の時点では、最後まで現場にいた生存児童や教諭への聴き取りは行われておらず、遺族が望んでいる、子どもたちが校庭に居続けた51分間の核心についての調査は、後回しにされている。

 検証委の会合は公開だが、実際にはほとんどの議論が非公開のメールや別会合で行われている。核心に迫る内容は途中の段階では全く共有されず、調査の進捗も知らされない。

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加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

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