あくまでも軍用主体
GPSの本場で見たモノとは?
「これは、カーナビどころじゃないな」。
衛星測位の最前線を取材しながら、つくづくそう思った。
本連載第152回『カーナビ王国ニッポンの落日~GPSと高性能アプリで「スマホでナビ」本格普及か~』でGPSについて触れた。今回の取材はその補完が目的だ。
取材現場は、世界最大規模の衛星測位カンファレンス「ION GNSS+」(米テネシー州ナッシュビル/2013年9月16日~21日)だ。開催期間の前半には、米政府によるGPSの民間利用を推進する委員会「CGSIC(Civil GPS Service Interface Committee)」の年次総会も行われた。
まず、GPS衛星の運用実情を把握しておきたい。Air Force(米国空軍)の発表内容は以下の通りだ。
・GPSは1993年12月に民生利用が開始された。現在、アメリカ政府が世界56ヵ国とGPS民生利用について協定を締結し、利用数は(年間で約)10億件。
・今年9月半ば時点で、軌道上にあるGPS衛星の数は35基。内訳はGPSⅡAが8基、GPSⅡRが12基、GPSⅡR-Mが7基、GPSⅡFが4基。この他、予備が4基、テスト中が1基だ。
・各衛星の平均寿命は、打ち上げ時期が早いⅡAから順に19.2年、11.7年、6.1年、1.7年。また、各衛星で最も長く運用されているのは、ⅡAから順に22.8年、16.1年、7.9年、3.3年である。
・打ち上げについては、直近ではⅡFの4基目を今年5月15日に行なった。ⅡFはあと8基を打ち上げる計画で、今年10月に1基、来年に3基と続く。
こうした現行計画の実施と並行して、第三世代であるGPSⅢ構想が開始されている。