メールの受信箱には、さまざまな企業からフィードバックのお願いメールが届く。そのほとんどが回答する気にならないのは、筆者だけではないだろう。しかし一方で、回答したくなる調査票もある。その違いはどこにあるのか。ベイン・アンド・カンパニーの好評連載、第2回。


 私の個人メールの受信箱には、12の異なる企業からフィードバックのお願いメールが届いている。複数のホテル、2つのオンライン通販企業、クレジットカード会社、投資会社などからだ。私は顧客体験の専門家として、企業に顧客からフィードバックを集めて活用するようアドバイスしているため、これらの調査票に興味を持っていると思われるかもしれない。だが、実際は受信箱に入ったこれらの依頼を一瞥し、ほとんどの調査票には答えないことにした。

 こうした反応をとる顧客は、私だけではないだろう。調査票の回答率は、企業がフィードバックを得るための仕組みが健全であり、思慮に富む顧客の意見を入手できるかどうかを測る、いわばリトマス紙だ。回答率が個人顧客で40%、法人顧客で60%を大きく下回るような場合には、何かしら課題があることを示唆している。回答率が向上しない場合もまた、あなたの企業は顧客の時間を大切にしていないと思われていることになる。

 ほとんどの顧客は、受信箱にアンケート調査がたくさん届いているのを見て、直感的に私と同じ反応をとるだろう。その理由は以下のようなものである。

回答に時間がかかる! もしも回答が簡単で手短に済むと確実にわかっていれば、回答するかもしれない。現実には、ほとんどの調査票が「ほんの数分」しかかからないとしながらも、そのたいていは大嘘である。だいたい15分から20分くらい要するが、そんなに時間がある人がいるだろうか?

具体的な苦情に対するフォローがない。私はこれまでに数多くの調査票に回答してきたが、多くの場合、それは漆黒の穴にフィードバックを落とすようなものだった。もしも何らかの問題の解決につながると信じられれば、回答する気になるかもしれない。しかし私が滞在するホテルでは、調査票で何度注意しても、配達すべき新聞を間違える。他のあるホテルは、私が調査票に何を書こうと、音がうるさく水漏れするエアコンを修理しようとしない。

フィードバックに基づいた学習がなされていない。もし調査票の回答に費やす時間が、従業員や、私を含む他の顧客に対するサービス全体の改善につながると思えば、私はもっと協力的になるだろう。しかしながら、多くの場合そうはならないのである。仮に、従業員が学習に役立つ形で私の声を聞くことができるとしたらどうだろう。シニアマネジャーが私や他の顧客の意見を重視し、フィードバックの内容をそっくりそのままとはいかなくとも、取るべき行動を取ったとしたらどうだろうか。このようなことが本当に起きると信じられれば、簡単な調査票なら喜んで回答しよう。