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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

低迷する日本維新の会
橋下徹共同代表が次に打つべき手は?

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第69回】 2013年10月17日
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 堺市長選挙で、「日本維新の会」が推す候補者が、大阪都構想に反対する現職の竹山修身市長に敗れた。橋下徹氏(大阪市長)が共同代表を務める日本維新の会は、大阪府内の首長選挙で「不敗神話」を誇ってきたが、初めて敗北を喫した。日本維新の会は、今年6月の橋下氏の「従軍慰安婦発言」が厳しい批判を浴び、7月の参院選で党勢拡大できなかった。堺市長選の敗北によって、大阪都構想の実現が遠のき、日本維新の会の退潮は決定的なものとなるのだろうか。

日本維新の会、低迷の理由

 日本維新の会の退潮については、橋下共同代表の「従軍慰安婦発言」が原因と考えられがちだ。だが、それだけではない。より深刻なのは、「環太平洋経済連携協定(TPP)」への参加、「憲法改正」などの主要政策で自民党との明確な対立軸を打ち出せず、自民党の補完勢力に堕してしまっていることだろう。

 また、日本維新の会の「原点」である「大阪都構想」を進めるためには、国会で数十の法律を制定・改正しなくてはならない。それには、国会で少数勢力に過ぎない日本維新の会だけでは無理だ。圧倒的多数派を形成する与党・自民党の協力が必要となる。日本維新の会は、自民党と決定的に対立することはできないのだ。

 党内の「路線対立」も日本維新の会が抱える深刻な問題だ。「大阪都構想」を掲げた地方政党「大阪維新の会」出身者ら若手と、それが中央政界に進出する際に合流したベテラン国会議員の勢力との対立だ。

 ベテラン国会議員には、石原慎太郎共同代表(前東京都知事)、平沼赳夫元経産相らの元々自民党出身者で、憲法改正実現を政治的信条とする保守派が多い。彼らは安倍内閣の憲法改正への取り組みを補完する役割を果たすべきだと主張する。また、環太平洋経済連携協定参加(TPP)や消費増税容認などの主要政策も自民党と考え方が近い。

 若手議員たちは消費増税容認などによる「自民党の補完勢力では選挙に勝てない」と訴えている。特に、「大阪都構想」を掲げてきた大阪維新の会出身者は「自民、民主政権にできなかったことに取り組むのが維新の精神」だとして、中央集権体制、官僚支配の打破に強い意欲を持っている。しかし、石原氏は、官僚支配打破については一致するが、「大阪都構想」については都知事時代から難色を示してきた。平沼氏、藤井孝雄元運輸相らに至っては、元郵政造反議員で改革路線そのものに懐疑的だ。ベテラン国会議員との対立の根は深い。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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