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スマートフォンの理想と現実

あなたのスマートフォンは「時間泥棒」になっていないか?

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第53回】 2013年10月24日
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 先日、取引先と打ち合わせをしたときのこと。

 先方2人、当方2人の合計4人で、業務の打ち合わせの後、雑談をしていて、自分たちが何回線持っているかという話になった。その時の結論は、4人合計で、12回線。

 私自身は、通信業界を手伝う人間である。それゆえに回線契約には厳しくありたいと思い、できるだけ絞り込んでいるつもりだった。しかしその私をしても、手元には3回線ある。しかもノートPCにはモバイルWiMAXのモジュールが入っており、契約するだけで1回線追加できる状態だ。

 他の人も、スマホ1台、ガラケー1台、データ通信モジュール1台。さらにiPhoneとAndroidを1台ずつ持っている人もいた。この取引先は、通信産業とは異なる業界だが、それでもこれだけの回線契約に囲まれている。スマートフォンというけれど、この状況って全然スマートじゃないですね、とお互い苦笑いをしてしまった。

 「果たして私たちはスマートになったのだろうか?」という問いは、多くの人の胸中に秘められているはずだ。回線契約に囲まれ、通信料金をたっぷり吸い上げられ、端末やサービスに振り回される毎日。私たちは本当に幸せなのだろうか。

 新しいiPadとiPad miniが発表され、来春に向けて新たなスマートフォンのモデルの話題も上がるようになってきた。しかしそんな喧噪を見ながら、ふとそんなことを考えてみたくなった。

隙間時間が「隙間でない時間」を侵食する

 スマートフォンがなかった時代のことを思い出すのは、もはやなかなか難しい。なんとか記憶をたぐると、スマートフォンを生活に取り込んだ直前に自分が使っていたのは、ノートPCとデータ通信モジュールである。まだ3G回線の高速化の途上で、添付ファイルのやりとりにも事欠く状況。回線費用も高く、社用でなければなかなか手が出せなかった。

 利便性も、現状に比べれば、いま一つ。オフィスではブロードバンドが普及していたこともあり、メールでやりとりされるファイルは巨大化していた。その一方で、時代はまだWebメールではなく、メールクライアントがPOPでメールをサーバに取りに行く。従って、ちょっと大きいファイルのやりとりをするには、オフィスに戻るか、さもなくば公衆無線LANを使うしかなかった。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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