消費税率引き上げ決定後、残された最大課題は軽減税率の是非だ。党大綱では12月の来年度税制改正の中で決めることとされており、余すところ2ヵ月である。軽減税率にはインボイスが必須となるが、インボイスが出せない免税事業者は、取引から排除される。軽減税率議論の時限爆弾とも呼ぶべき大きな問題だ。

死活問題に直面する免税業者

 消費税率8%への引き上げが決まり、12月までに軽減税率導入の可否が判断されることになる。この問題はなかなか結論が出そうもないので、年末までに決めるのは無理、という声も出始めているが、自民党税制改正大綱に「14年度与党税制改正決定時までに結論を得る」と明記されている以上、ぎりぎりまで議論は続くだろう。

 食料品などに軽減税率が導入されると、その手間を抑えながら正確に納税するためには、インボイス(消費税額を「別記」した請求書等)の導入は避けられない。このことは 2月18日の本欄に書いたところである。

 私がここで取り上げたいのは、インボイスの導入が行われると、消費税の課税を免除されている免税事業者、つまり課税売上高1000万円以下の事業者は、インボイスの発給ができないという問題である。インボイスを発給できないということは、取引の相手方は仕入れ税額控除ができないということである。そうなると、取引の相手方は、「インボイスの発給ができない免税事業者とは取引をやめる」ということになりがちで、死活問題に直面する。

 そこで冒頭の税制改正大綱には、軽減税率の可否を検討するに際しての課題として、「免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題への理解」を検討事項に挙げているのである。