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森信茂樹の目覚めよ!納税者

軽減税率導入問題の地雷
免税事業者は取引から排除される!

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第60回】 2013年10月25日
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消費税率引き上げ決定後、残された最大課題は軽減税率の是非だ。党大綱では12月の来年度税制改正の中で決めることとされており、余すところ2ヵ月である。軽減税率にはインボイスが必須となるが、インボイスが出せない免税事業者は、取引から排除される。軽減税率議論の時限爆弾とも呼ぶべき大きな問題だ。

死活問題に直面する免税業者

 消費税率8%への引き上げが決まり、12月までに軽減税率導入の可否が判断されることになる。この問題はなかなか結論が出そうもないので、年末までに決めるのは無理、という声も出始めているが、自民党税制改正大綱に「14年度与党税制改正決定時までに結論を得る」と明記されている以上、ぎりぎりまで議論は続くだろう。

 食料品などに軽減税率が導入されると、その手間を抑えながら正確に納税するためには、インボイス(消費税額を「別記」した請求書等)の導入は避けられない。このことは 2月18日の本欄に書いたところである。

 私がここで取り上げたいのは、インボイスの導入が行われると、消費税の課税を免除されている免税事業者、つまり課税売上高1000万円以下の事業者は、インボイスの発給ができないという問題である。インボイスを発給できないということは、取引の相手方は仕入れ税額控除ができないということである。そうなると、取引の相手方は、「インボイスの発給ができない免税事業者とは取引をやめる」ということになりがちで、死活問題に直面する。

 そこで冒頭の税制改正大綱には、軽減税率の可否を検討するに際しての課題として、「免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題への理解」を検討事項に挙げているのである。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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