普通の社長は「決算書を見るだけ」。頭のいい社長は何をしている？
2023年10月からインボイス制度が始まりました。「増税ではないか？」「経理の手間が増え、負担が増大する」など、さまざまな意見が出ています。そのインボイス制度の影響を強く受けるのが「ひとり社長」です。しかし、業種・業態・売上規模によっては、「インボイスに登録しないほうがいい」と提案できるケースもあり、戦略的な選択が求められる制度ともいえるのです。
本連載は、経費精算から決算・申告まで、ひとり社長の経理の基本を学ぶものです。著者は、税理士の井ノ上陽一氏。インボイス制度、電子帳簿保存法に完全対応の『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』の著者でもあります。「ひとり社長なら、経理はこれだけでいい！」とポイントをおさえた1冊になっています。
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頭のいい社長は「数字」をこう見ている！
みなさん、令和6年分の確定申告は無事におすみでしょうか。本日は「経理の活用」をテーマにお話しします。
経理という仕事は地味でめんどくさいものです。人に任せたり、放置したりしがちでしょう。しかし、やらないわけにはいきません。
会計データの入力（会計ソフトへの入力に限らずExcelやその他のシステムでの管理を含む）は、どうせやらなくてはいけないものです。1年に1回、税務署へ提出しなければいけないからです（決算書だけではなく税金の申告書も提出します）。後まわしにしても、必ず一定の時間や労力という投資は必要となります。
その投資を少なくする努力だけではなく、リターンを増やすことも考えるべきです。経理業務のリターンが「税金の申告」だけの場合も多いでしょう。税金を計算して申告書を提出するだけで終わるケースです。後まわしにして、ぎりぎりに申告すると、こういったケースになります。
経理業務には、それなりの時間とお金がかかっているわけですので、リターンが「税金の申告」だけで終わっては非常にもったいないことです。もちろん会計データの入力を徹底的に効率化することでも投資効率は上がります。
しかし、会計データの入力にかかる投資（時間・お金・手間）を0にすることはできません。これはアウトソーシングをしても同じです。会計データを税金の申告以外にも活用すれば、リターンは増えます。会計データの活用法というと次のようなものがあります。
会計データはこう使おう！
・経費の詳細を分析する
・資金繰りに使う
・決算の数値を予測し、適切な節税策を行う
・固定費削減、さらなる投資、業務拡大といった経営上の意思決定に活用する
・モチベーションアップに使う
・経営上のリスク管理の基礎資料とする
このようにリターンは増えていきます。経理業務を徹底的に効率化しなければいけないのは、その先にやることが山ほどあるからです。決算書を作って終わり、あるいは力尽きるというのでは、経理を最大限に活かしているとは言えません。
（本原稿は『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』を一部抜粋・加筆したものです）
