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森信茂樹の目覚めよ!納税者

消費税の軽減税率の導入には
インボイスは必要不可欠

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第44回】 2013年2月18日
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軽減税率の議論と
インボイス

 今回の税制改正議論で最後までもめた案件に、消費税の軽減税率導入がある。8%に引き上げる14年4月から導入すべきとする公明党と、10%段階あるいはそれを超える引き上げ時から導入とする自民党との攻防は、なかなか決着がつかず、最終的には、「消費税率の10%引き上げ時に軽減税率制度を導入することをめざす」という、結論先送りの決着となった。

 筆者の考え方は、第17回第34回に述べたとおり、軽減税率の導入は可能な限り我慢すべきであるということである。その理由は、軽減税率はお金持ちにより多く利益の及ぶ制度なので、逆進性対策にはならず「ばらまき税制」であること、それによって失われる税収をどこかで調達しなければならないこと、さらには、軽減税率導入に伴い莫大なコストや手間が国民、事業者、税務当局にかかることなどである。

 一方で、今回の一連の議論を通じて、「インボイス」(取引の事実を証明する書類で、消費税額が別記されている)についていろいろ議論が行われたことは、今後のわが国の消費税制度を考えていく上で有益であった。しかし、「インボイス」の導入には反対しつつ、軽減税率は導入したいという虫のいい議論もあったやに聞く。

 そこで、消費税制度と「インボイス」の問題について、改めて考えてみたい。

適正な納税を促す
インボイス制度

 消費税が、フランスで考えだされてわずか数十年で全世界に広まった最大の理由は、所得税と比べて、大変タックスコンプライアンスが高い(脱税しにくい)税制だという点である。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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