頭のいい社長が毎月チェックする「3つの数字」とは?
2023年10月からインボイス制度が始まりました。「増税ではないか?」「経理の手間が増え、負担が増大する」など、さまざまな意見が出ています。そのインボイス制度の影響を強く受けるのが「ひとり社長」です。しかし、業種・業態・売上規模によっては、「インボイスに登録しないほうがいい」と提案できるケースもあり、戦略的な選択が求められる制度ともいえるのです。
本連載は、経費精算から決算・申告まで、ひとり社長の経理の基本を学ぶものです。著者は、税理士の井ノ上陽一氏。インボイス制度、電子帳簿保存法に完全対応の『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』の著者でもあります。「ひとり社長なら、経理はこれだけでいい!」とポイントをおさえた1冊になっています。

毎月チェックすべき「数字」とは?
ひとり社長の場合、売上には限界があります。業種にもよるでしょうが、1000万円から2000万円くらいでしょう。
その売上をどうやって上げたか、どれくらいの時間で上げたかが重要な経営課題となります。毎月の売上をチェックすることは最重要事項なのです。
売上は、多寡で見ても意味がない
売上は「今月は売上高がアップした、ダウンした」としているだけでは経営には活かせません。例えば、次のように細かく分けて把握しましょう。
・月別売上(大きく落ち込んでいる月はないか)
・年別売上(年ごとの推移はどうか)
・顧客別売上(顧客単位でバラつきがないかどうか)
・新規・既存別売上(バランスがいいかどうか)
・チャネル別売上(販売ルートが偏っていないか)
・商品別売上(特定の商品に依存していないか)
・サービス別売上(コンサル、セミナー、執筆などのバランスはどうか)
・種別売上(継続収入、単発収入などのバランスはどうか)
・獲得形態別売上(紹介、HPなどの獲得ルート別の売上はどうか)
売上とは別にチェックすべき「3つの数字」
売上とは別に、経営上、毎月チェックしておきたい数字は、次の3つです。
①粗利(売上から原価を引いたもの)
②経常利益(①から経費を引き、そして各種利息を加減したもの)
③お金(現金、預金の合計)
少しでも「変だな?」と思ったら、細かくチェックする習慣をつけてください。経営上異変が起きた場合でも手遅れにならずにすみます。健康診断で精密検査をするように、今後を考える上で細部の精査は必要です。意外な事実がわかります。
(本原稿は『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』を一部抜粋・加筆したものです)