10月18日、日本経済研究センターは、「農業保護はどの程度家計負担を増やしているか」と題するディスカッションペーパーを公表した。日経新聞も取り上げているが(10月21日朝刊)、とても示唆に富む興味深い内容なので、ここに紹介してみたい。

農産物の内外価格差は
消費者物価指数を1.1%押し上げる

 わが国の農業政策は関税をテコにした価格支持政策が基軸となっている。その結果、農産物の内外価格差はかなり大きいと言われている。ところで、農産物の内外価格差は、実際にはどの程度あるのだろうか。TPP参加の際に、関税削減の対象から除外するように主張されている農産物主要6品目に絞って試算してみると次表の通りとなる。

 内外価格差の最高は小麦で382.2%、これは関税等により小麦が国際価格の約5倍の値段(牛肉は約4倍、コメは約2倍)で、消費者に売られていることを意味する。この差額は、農業を守るために個々の市民が支払っている直接的なコストとみなすことができる。