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石川和男の霞が関政策総研

“600人の適材適所”という常軌を逸した虚妄
「内閣人事局」関連法案は無意味な改革競争の産物

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第7回】 2013年11月5日
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内閣人事局は
毒にも薬にもならず

 政府は、今臨時国会に国家公務員制度改革法案を提出し、成立を目指している。最も注目を集めているのは、中央官庁の幹部公務員の人事を一元管理する「内閣人事局」の設置だ。ここで管理対象とする幹部人事は600人規模に上る。

 現行の幹部公務員人事は、正副官房長官らによる人事検討会議で扱われる。対象となっているのは、各省庁の事務次官や局長級の約200人。今回の改革法案では、幹部公務員人事として扱う対象を審議官級にも広げるため約400人増える。

 内閣人事局はいったい何のために設置されようとしているのか。

*  *

 幹部公務員人事を内閣人事局に一元化することで、官僚の最大の関心事である人事権を握る。それにより、各省庁の官僚が自分たちの“省益”を優先して政策を企画立案したり、執行したりする動きを抑えられ、時の政権の優先課題を政府一体となって進めやすくなる

*  *

 これが「内閣人事局」構想の根底にある理念だ。

 この「内閣人事局」に関連する法案については、実は2009年の旧自民党政権、その後の民主党政権の時も含めて、これまで3回も国会に提出されたが、いずれも廃案となった。実質的な官僚人事権を政治家に握られるのは嫌だという風潮は、霞が関の中央官庁に実在する。

 だからといって、これまでの内閣人事局関連法案の廃案が、官僚の悪あがきの結果だとか、官僚の陰謀によるものだとか、そういった下世話な主張に対して、私は非常に大きな違和感を覚える。

 この法案が最初に検討された2008年、実際に内閣官房で、内閣人事局も含めた国家公務員制度改革に係る検討作業に従事した経験からしても、決してそういうことだとは思えないのだ。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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