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PCI後はキチンと服薬を
自己判断の中止は大きなリスク

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第172回】

 目先を変えて「二次予防」に関するデータを一つ。二次予防とは、すでに発症している病気の早期発見や重症化、合併症の予防を指す言葉。例えば、急性心筋梗塞から生還した後に処方される「血液サラサラ」薬も二次予防が目的だ。

 心筋梗塞は、何らかの原因で生じた血の塊(血栓)が心臓の太い血管を詰まらせることで生じる。日本では毎年約15万人が発症。発症した場合は、何はさておき「血流の再開」と「再発予防」が治療の目標となる。

 血流再開治療の柱はカテーテルを使った血管内治療(PCI)。血栓で詰まった血管を拡げ、網状の筒(ステント)をモロくなった血管の「支持材」として留置する。脚や胸、あるいは腕の血管の一部を採取し、詰まった血管のバイパスを造る「冠動脈バイパス術」より低侵襲で術後のダメージが格段に軽い。ただし、約3割に「再狭窄」が生じる可能性があるとされる。このリスクを減らすためにもPCI後の「血液サラサラ」薬(正式には抗血小板薬)1剤、あるいは2剤の服用が必須なのだ。

 先日、医学誌の「ランセット」にPCI後に抗血小板薬2剤を飲んでいた患者に関する追跡調査の結果が載った。対象は18歳以上の成人、約5000人でステント留置後1カ月、半年、1年、2年時点でフォローし、心疾患死や心筋梗塞の再発との関連を調べた。

 その結果、被験者の1割相当で重大な心疾患が再発。服薬をキチンとしていた人の再発リスクを1とすると、自己判断で薬を飲むのをやめた場合は、心疾患死・再発リスクが1.5倍に増加していたのだ。特に、服薬開始7日以内に怠薬した場合は7.04倍、8~13日以内では2.17倍と飲み始めの中断が大きなツケになることが示唆された。一方、医師の判断による中止の場合は、0.63倍とリスクが逆に低下した。

 PCI後の二次予防は、効果が目に見えず、疎かになりやすい。しかし、せっかく拾った命を一時の「面倒」で危険に曝すのはもったいない話。特にリスクの高い飲み始めの数週間は心しよう。習慣化すれば、こっちのものである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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