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【近未来の組織運営とIT】
組織と人材の「トライブ化」が
企業の情報環境を激変させる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第5回】 2013年11月11日
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ICT技術の進展はこれまで以上にビジネスや業務の遂行形態および組織運営の方法に大きな影響を及ぼしていくことが予想される。今回は、「トライブ化」をキーワードに、将来の組織運営や従業員のワークスタイルのあり方を予測し、それを支える企業ITの要件について考察する。

「トライブ化」とは

 「トライブ」とは、もともとは部族を意味し、何らかの共通の興味や目的を持ち、互いにコミュニケーションの手段があることでつながっている集団を指す(「トライブ~新しい“組織”の未来形」セス・ゴーディン著、講談社)。

 一般社会や消費者市場では、すでにトライブ化が始まっている。これまではそれぞれに分散し、相互につながりを持たなかった人々が、インターネットやソーシャルメディアなどを通じて自分たちの意見を同期化し、行動を調整し、その結果を記録して発信できるようになった。すなわち、人々は自由につながり始めており、そのつながりは大きな力を持ち始めている。情報の共有や交換が進むことで、情報格差が縮小し、他の社会や他者の考えに触れる機会が増大したことから、「縦社会」が崩壊し「横社会」が形成されていった。

 さらに、情報の透過性が高まると、求心力を持つ複数の個人がハブの役割を担うようになり、その周りにトライブが生まれ、情報の流れは縦横無尽となることで「網社会」が形成されつつある(連載第2回「【マーケティングとIT】ソーシャル時代の顧客と、企業はどう向き合うべきか」 )。

企業組織にも波及する
トライブ化の流れ

 このようなトライブ化の流れは、企業組織にも波及しつつある。まずは、今後そのような組織形態へのシフトが予想される背景について考えてみよう。

 その1つは、就労者と就労形態の多様化に起因するものである。今後、少子高齢化によって日本人の就労人口が減少することが懸念されているが、企業は人材の不足を補うために高齢者、結婚・出産後の女性、外国人などの雇用を促進すると考えられる。

 就労者のダイバーシティが進行するに従って、多様な雇用形態や就労形態に対応した就労環境を提供することが求められよう。パートタイムの就労者や期間雇用の契約社員など雇用形態が多様になるだけでなく、在宅勤務、非常勤、直行直帰といった自由度の高いワークスタイルもより一般的になっていくであろう。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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