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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

不動産業界の「激変ぶり」を象徴。
アーバンコーポがついに“清算”へ

――空前の「倒産ラッシュ」に見舞われた2008年をふり返る

永沢 徹 [弁護士]
【第54回】 2008年12月26日
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 8月に経営破たんした新興不動産会社のアーバンコーポレイション。それから4ヵ月。今月22日、東京地裁に再生計画案が出された。しかし、“再生”とは名ばかりで、事実上の「解体」である。これまでスポンサー企業を募って事業の一体的再生を模索してきたようだが、事業全体の担い手が見つからず、事業の一部を投資グループなどに譲渡したうえで、結局会社そのものは清算されることになった。

 主力としていた「不動産流動化事業」は、中堅証券会社・極東証券の子会社FEインベストを中心とする投資グループに譲渡されることが決まった。また、マンション分譲事業については、広島を中心に展開する事業を地元のファンド・広島ベンチャーキャピタルに譲渡されることとなった。両事業を合わせた売却額はわずか100億円程度。これ以外の事業は譲渡先が見つからなかったようだ。

史上最高益の数ヵ月後に倒産
という皮肉

 今後は、残った資産を売却し、債権者への弁済(配当)を進めていくことになる。同社によると、その弁済率は最大15%程度の見込みだという。民事再生の一般的な配当率としては、15%というのは決して低い数字ではない。

 しかし、同社の直近(2008年3月期)の決算では、バランスシート上において大幅な「資産超過」状態であったこと、しかも600億円を超える過去最高の営業利益を上げていたことを考えると、15%という配当率はあまりにも少ない数字に思えてしまう。

 これは、破たん後、相当な規模で資産価値が目減りしてしまった証拠だろう。おそらく、都市部を中心とした優良物件はすでに担保に入っていると思われ、残った物件は資産価値の低いものばかりではないだろうか。それらをすべて売却し、2事業の譲渡代金、そして手元資金を合わせて、ようやく15%の配当にこぎつけた、というのが正直なところだろう。

主力の「不動産流動化」事業の
行き着いた先

 特に主力事業としていた不動産流動化事業においては、破たんによって、確実な収益源である「フィービジネス」を失ってしまったといえる。そもそも不動産流動化事業は、大きく分けて下記の3つに分類される。

1)自社開発――自己資金によって物件開発後、他社へ転売することで利益を確保する。

2)プロパティマネジメント(PM)――物件メンテナンスや賃貸契約などの管理業務を請け負う。

3)アセットマネジメント(AM)――投資家・保有者から、代理人として物件を預かり、上記PMの運営を行なうだけでなく、投資家への投資利回り最大化の責務を負う。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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